高速会社トップの刑事責任は…2人死亡の土砂崩落事故

2015/3/17付
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日経コンストラクション

2009年7月に福岡県大野城市の九州自動車道で土砂崩落が発生して2人が死亡した事故で、福岡県警察本部は2015年3月13日、道路管理者である西日本高速道路会社の当時の会長ら4人を業務上過失致死の疑いで福岡地方検察庁に書類送検した。災害による死亡事故で道路管理者のトップが書類送検されるのは異例だ。

送検されたのは、いずれも事故発生当時の役職で、西日本高速の会長(71)と社長(70)、久留米管理事務所長(63)、同事務所改良担当課長(59)の4人。福岡県警は、所長と改良担当課長の2人は起訴を求める「厳重処分」、会長と社長の2人は検察に判断を委ねる「相当処分」としてそれぞれ福岡地検に書類送検した。

■夫婦の乗った車両が土砂に巻き込まれる

事故があったのは、2009年7月26日午前11時10分ごろ。九州自動車道の福岡インターチェンジ(IC)―大宰府IC間で大量の土砂が本線上に流入した。その際、当時42歳の夫と39歳の妻が乗った車両が崩落してきた土砂に巻き込まれ、2人とも死亡した。

福岡県警によると、西日本高速の4人はいずれも道路や通行者の安全を確保する立場にあったが、異常降雨による土砂崩落に通行車両が巻き込まれる危険性があったにもかかわらず、事故発生箇所に防護壁などの施設の整備を怠っていた。さらに当時、降雨量が通行止めの基準に達したのに、防災上必要な措置を取らなかった過失があるとしている。

この事故を巡っては、現場付近で2003年にも土砂崩れが発生したのに対策を講じていなかったなどとして、夫婦の遺族が約3億5000万円の損害賠償を求めて西日本高速を福岡地方裁判所に提訴。福岡地裁は2012年6月に遺族側に約2億円を支払うよう命じた判決を下し、西日本高速が控訴せずに確定している。

■豊浜トンネルの事故では道路管理者は不起訴

インフラ関係の死亡事故で、組織のトップに刑事責任が及ぶケースは少ない。例えば、2005年にJR西日本の福知山線で発生した脱線事故では、同社の歴代社長が起訴されたが、一審で無罪判決が出ている。

また、1996年に北海道古平町の豊浜トンネル坑口で発生した岩盤崩落事故では、当時の北海道開発局小樽道路事務所長と維持課長が送検されたが、不起訴となっている。

今後、福岡地検が元会長や元社長の起訴に踏み切るのか、注目される。

(ライター 山崎一邦)

[ケンプラッツ 2015年3月17日掲載]

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