日本メーカーの存亡 突破口は「好奇心資本主義」
みらいのトビラ(3)

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2015/3/24 7:00
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日経テクノロジーオンライン
 自分の専門性という基盤を生かして、異分野の人々と同じ土俵で対話する自信があるか。そう問われたときに、胸を張って「ある」と答えられる読者はどれくらいいるだろうか。自信を持つためのカギは、さまざまなモノやコトに興味を持つ「好奇心」にある。今後10年超にわたるICT(情報通信技術)やエレクトロニクス業界の長期トレンドを予測したレポート『メガトレンド2015-2024 ICT・エレクトロニクス編』(日経BP社)の著者である川口盛之助氏と山本一郎氏が、これから拡大する市場や、企業・技術者の在り方を語り合う対談の第3回。今回は、技術者として、ビジネスパーソンとして、どのように未来を見ていくべきかに、2人の奇才が迫る。

山本 最近、メカトロニクス系の会社さんに呼ばれて、「これからどうしたらいいんでしょう」と聞かれることがよくあります。でも、そう言われると「いや、あなたはどういう人生を送ってきたんですか」と聞き返さざるを得ないのです。

「あなたはこれまでの人生の中で、どういう多様性を見てきましたか。それに対して、どういう感情を抱きましたか」と。「その過程でどういう危機感を持っていて、どう生き残りたいですか。それを今からお話しするのだと思いますが、自分の中で落とし込みができていますか」という所まで話をします。

相談していただく人たちの悩みは「今、自分たちがどういう商品を前に立てていくべきか分からない」ということです。例えば、テレビメーカーであれば、「テレビは単なる映像受信機ではなく、コミュニケーションのツールの一つでもあります。みなさんは、映像を使ってどういうコミュニケーションを取ろうと思っていて、そのために必要なテレビはどんなものですか。ユーザーにとって、必要とされるであろうテレビの機能に落とし込んでいますか」という話をします。

でも、そういう対話の中でハードウエア企業は、「ある道具の特定の機能面だけを切り取って、その機能を生かすためにものづくりをしている」と感じます。そこから脱却しようとしない印象が強いんです。

投資家/ブロガー/経済ジャーナリストの山本一郎氏(左)、盛之助 代表取締役社長の川口盛之助氏(右)(写真:加藤康、以下同じ)

投資家/ブロガー/経済ジャーナリストの山本一郎氏(左)、盛之助 代表取締役社長の川口盛之助氏(右)(写真:加藤康、以下同じ)

――なるほど。

山本 既に出来上がった特定の世界観にずっと浸っていて、ほかの世界に興味がない。そういうイメージです。何となく、エレクトロニクス系やメカトロニクス系の会社ではテクノロジーに興味を抱いていない人が多い気がします。特にマネジメント層で。

別に「スマホ時代にガラケーを使っているからいかん」というようなレベルの話ではなくて、「人としてのアンテナを高くして情報を得て、それを咀嚼して」という部分に無頓着な人が結構います。

――それは昔ながらの大企業の部長さんとか、そういうイメージですか。

山本 「そんなにぬるい感じでしたっけ」と思うんです。もうちょっと、みなさんハキハキと考えて、新興国に行けと言われたら明日にでも飛んでいっちゃう感じではなかったでしたっけ。 どこかの大学に新技術の情報があったら、即アポで訪問する人たちだったはずなのに…。

川口 企業が人材をリクルートする際に最も大変で、採用後にトレーニングできないことが一つあります。それは「好奇心」です。だから、面接試験で一番見抜かなければならないのは、「この人は本当に好奇心がある人なのか」ということです。もともと好奇心がない人は、どんなに叩いても出てこない。

インテリジェントな仕事では1人で千人力のことができるわけだから、そういう意味ではものすごく乱暴な言い方をすると、1000人に1人の好奇心がある人をどれだけ捕まえられるかに企業の存亡が懸かっています。「好奇心資本主義」のような感じです。

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