日本メーカーの存亡 突破口は「好奇心資本主義」
みらいのトビラ(3)

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2015/3/24 7:00
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――好奇心はトレーニングできないということでしたが、どうしようもないのでしょうか。

川口 だから見つけるしかないんです、好奇心のある人を。採用を担当する人は、神輿を担ぐつもりで好奇心がある人を見抜いていく必要がある。

山本 もうそれに尽きますね。ベンチャー企業が大手、中堅の企業と比べて優れている点は、結局、自分の好奇心をスピーディーに具現化しようとする力だけなんですよ。

でも、9割くらいはインチキなんです。好奇心から出てきた10のアイデアのうち「当たり」は多くて二つか、三つ。さらに実現できるのは半分ぐらいで、全体として10個に1個しか着地しない。そういう意味でのインチキですね。だいたい「これは、はずれだ」と、途中でみんなが気付くんです。

そのときに「ピボット(回避)」できるかどうか。できる人は、「これがダメなら、次はこれに興味があるのでこっちをやる」と方向を変えられる。でも、だいたいの場合はできないんです。

――できないとダメになってしまうと。

山本 たまたま若い人たちと交流する機会がありました。最近は、ベンチャー企業を最初から選ぶ人が結構いるんです。でも、その中で本当に先頭に立って引っ張っていくやつって、技術者であれ、経営者であれ、限られています。

そういうキーパーソンが現状の取り組みに飽きて、別のことに興味があると言ったときに、ついて行く人がいるかいないかが重要だと思います。だって、全体が見渡せているキーパーソンが飽きたということは、どうせはずれだということですから。

――そこでピボットして別の方向に進んだ方がいいわけですね。

山本 そうですね。「俺は当初はこっちがすごくいいと思っていました。でも、試行錯誤した結果、狙いがうまくいかなかったので、いままで取り組んできたものは損切りして、新しい技術や事業へピボットします」。これはオーケーです。

川口 ベンチャー企業というのは、新しい発明、新しい権利を何かの応用につなげるシーズアウトの世界です。それは割とオーソドックスなやり方でしょう。核融合発電のような話と同じで、シーズアウトをショットガンで撃てばいい。「千に三つ」の世界ですから。

でも、大企業がやっているほとんどの研究や開発業務では、担当者がお客さんに興味があるかないかが大切なんです。それをベンチャー企業と同じシーズアウト型のものだと勘違いしてしまいがちです。

例えば、コンピューターの研究開発をしている人がいるとします。もし、その人が「私はコンピューターの研究をしているのであって、銀行の勘定系の仕組みには興味がありません」と言ったらどうでしょう。もう、その人には救いがないですよ。

もちろん、コンピューターの技術や学術関連では学会があって、ロードマップがある。そういう専門的知識を知ることは必要条件だけれども、仕事としては十分条件ではない。

十分条件としては、端的に言えば「銀行に関連する勉強会に参加するつもりがあるかどうか」「銀行関係者だけが集まっている会合ってどんなことを話しているのだろうと好奇心を抱くかどうか」ということです。

山本 本当にそうですよね。

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