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二刀流・日本ハム大谷 成長急な打、「成長痛」の投

27日に開幕するプロ野球。日本ハムの栗山英樹監督は今季を占う大事な開幕戦のマウンドを大谷翔平に託すことを決めた。投手と野手の「二刀流」の真価が問われるプロ3年目。初の開幕投手という大役を担う20歳の右腕は、さらなる飛躍を求めて試行錯誤を続けている。

投手=大荒れのオープン戦

「投げ心地はよくなかった」。降板後に口にした言葉が、本人も納得のいかない現状を表していた。11日に行われた千葉県鎌ケ谷でのDeNA戦。先発した大谷だったが、初回に2番桑原将志に右中間に二塁打を浴びると連続四球で満塁とし、5番井手正太郎の犠飛でいきなり先制されるという立ち上がりだった。

二回は2三振を奪って三者凡退に抑えたものの、三回には桑原の右越え本塁打と井手、アーロム・バルディリスの連続適時打で3失点。四回の2死一、三塁の場面では、直球がワンバウンドしてネット裏に転がるという自らの暴投で失点した。この暴投を含め2者連続で一球もストライクが入らずに四球を与えるという大荒れの投球内容。結局は4回を99球、6安打、4四球、5失点という内容でマウンドを降りた。

「引っかけたり、球が上にいったりバラバラ」。制球がままならなかったのは「マウンドとのタイミングがあっていなかった」ことで、上半身と下半身のバランスが崩れたことが原因と自己分析した。左翼から右翼に強風が吹くという悪条件の中でも「高めの真っすぐなど指にかかっていたボールはまずまず」と最速は154キロを記録したが、コントロールに苦しんでストライクを取りにいった直球を狙い打たれた。

大谷の年度別投打成績
▽投手
登板勝利敗戦完投完封投球回防御率
1313300061回2/34.23
142411432155回1/32.61
通算3714432217回3.07
▽打者
打数安打本塁打打点三振打率出塁率
131894532064.238.284
1421258103148.274.338
通算4011031351112.257.314

オープン戦での乱調は2試合連続だ。3日の札幌ドームでの巨人戦では、初回に連続四球でピンチを招くと、フレデリク・セペダ、高橋由伸、井端弘和に適時打を浴びて4失点。失点はこれだけだったが、4回を4安打、6四球とやはり制球の乱れが目に付く投球だった。

「前回(3日)よりは今日の方がいい」。11日の投球について、厚沢和幸投手コーチはいう。「先発投手なら同じフォームで100球投げなければいけない。そういう意味ではバラツキがある」。必要なのは、そのバラツキをなくす修正作業。翌12日に、黒木知宏投手コーチも含めた両コーチとの三者面談で技術的なアドバイスをもらったという大谷は「自分の中では(内容を)消化できている」と話した。

オープン戦2試合の防御率はなんと10.13。開幕戦へ不安を残したといえそうな投球も、大谷本人は「基本的な部分が崩れているのではない」と冷静だ。「去年の技術よりもステップアップするためにやっている。その過程でずれているところがある。そこを修正していけばいい」。開幕までに必要なのは技術面の根本的な見直しではなく、あくまでも立ち直りのきっかけとなる細かな調整。前に進むための、いわば「成長痛」ともいえる段階と受け止めている。

初の開幕投手というプレッシャーについて「まだ感じていない」とかわすが、厚沢コーチは「まだ20歳。メンタル的なこともあると思う」と気遣う。オープン戦でもう1試合登板して、晴れのマウンドを踏む予定の右腕。「開幕に間に合う間に合わないではなく、今年先発する全試合に勝ってくれるための肥やしにしていけばいい」。コーチは期待をかける。

野手=すごみを増した打棒

「打に関しては非常に前に進んでいる感じがする」「野手・大谷は褒められるところが多い」……。「できて当たり前」と普段は辛口の栗山監督の言葉が「打」の成長ぶりを物語る。プロ野球選手としての体ができてきたこともあり、開幕3連戦では初戦の開幕投手に加え、3戦目には打者として出場する「カード内二刀流」が実現する可能性も出てきた。

オープン戦では投手優先の形であるが、4番に座る中田翔に続く「5番指名打者」として5試合に出場。15日の西武プリンスドームでの西武戦では、下手投げの牧田和久の軟投にかわされるなど5打数無安打と、オープン戦で続けていた連続試合安打が4で途切れたが、「自分のタイミングでは振れている」と自信は揺るがない。

その打棒のすごみを見せたのが、沖縄・名護でのキャンプ中の2月11日に組まれた阪神との練習試合だった。二回の先頭打者で打席に入った大谷は阪神先発の金田和之の外角直球を左翼席に運んだ。本人いわく「芯詰まり」の打球。変化球と直球の両にらみでいたため、ミートポイントは遅れ気味だったというものの、バットの芯でとらえて「力で持っていけた」。打球は切れずに左翼ポール際に飛び込んだ。

二刀流の必然で打席数が少なくなる中、昨年は2桁本塁打を放った長距離砲。キャンプ中の打撃練習では主砲中田に勝るとも劣らない飛距離を誇った。まるで投のフラストレーションを発散しているかのように見えるほど、気持ちよさそうにバットを振っていた大谷。「余裕はないが、打席の中でやるべきことがより明確になっている」と話す。

二刀流=磨きをかける3年目

投ならダルビッシュ有(レンジャーズ)や田中将大(ヤンキース)。打ならイチロー(マーリンズ)。大リーグに旅だった選手がブレークしたのがプロ3年目だった。昨年の日米野球で実際に対戦した後に「まだまだ手の届かない存在」と大リーガーについて感想を述べたものの、「これから積み重ねていきたい」と将来の願望も口にした大谷。先達たちが米国行きの足がかりを築いたともいえる大事な年にどんな飛躍を見せるのだろうか。

プロ3年目の飛躍(それぞれプロ入り1~3年目の成績)
▽投手勝利敗戦セーブ防御率主なタイトル
ダルビッシュ有(日本ハム)055503.53
0612502.89
0715501.82沢村賞
田中将大(楽天)0711703.82新人王
089713.49
0915612.33
▽打者安打本塁打打点打率主なタイトル
イチロー(オリックス)922405.253
931213.188
942101354.385首位打者、MVP

「納得できる1年にしたい」。1月5日、鎌ケ谷での今年最初のトレーニングを終えた大谷は抱負を述べた。そして、未(ひつじ)年にちなんで「羊が羽ばたく」という自らの名前に含まれる「翔」という漢字をテーマに掲げるとさわやかな笑顔を見せた。昨季記録した「2桁勝利&2桁本塁打」や「プロ野球最速タイの162キロ」という数字には満足していない20歳。「一本化」を求める声も強い中、かたくなに貫いてきた二刀流にさらに磨きをかける。

(伊藤新時)

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