2018年7月20日(金)

新車1台、大切に届けます ディーラーが選ぶ運搬車

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2015/3/16 7:00
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 新車を買ったらピカピカの愛車が家に届くのが待ち遠しいはず。新車を載せる1台用の車両運搬車の先駆けが花見台自動車(福島県いわき市)だ。大企業の下請けになるのではなく「商品で真っ正面から競っている」(能條健二社長)と自負しながら、独自のアイデアと技術を生み出している。

■1972年に特許取得

独自技術で積載時の全長を短くできる

独自技術で積載時の全長を短くできる

 1台用車両運搬車は同社が初めて開発して1972年に特許を取得した。商品名は「セフテーローダ」だ。2.5~3.5トン積みトラックにシーソーのように傾くガイドローラーを付け、その上の荷台が後ろにスライドする。荷台の後部で跳ね上げていた道板を降ろして坂のように地面と設置させ、自動車が乗り降りできるようにする。能條社長が横浜市の花見台で小さな自動車整備工場を運営していた際、納車や引き取りに手間がかかっていたのに着目して生み出した。全て1人で操作できるのが売りだ。

 トラックの荷台の規格は国土交通省などの基準によって厳しく定められている。能條社長は陸運局に通い詰めて折衝を重ね、公道を走れるようにし、さらに使いやすくできるよう訴え続けた。一般の貨物車は後輪からはみ出す荷台の長さがホイールベースの半分までに制限されている。これでは傾けた際の傾斜が急すぎて車を載せられない。車両運搬車はこれを3分の2まで延ばせるようしたかわりに、車以外を運べないようにした。最後部に45センチ以上の折り曲げ式の道板をつけ、その裏側にナンバーをつけるといった規制がある。

 能條社長は行政の認可を得た後、自動車ディーラーや修理工場、中古自動車販売会社に飛び込み営業をして顧客を開拓した。出荷先の拡大に伴って、大企業からも注目されるようになり、車両搭載型クレーンメーカーへのOEM(相手先ブランドによる生産)供給も始めた。1984年に特許が切れたのに伴い、経営環境が一変。特装車大手など大企業の相次ぐ参入もあり、厳しい競争に巻き込まれた。車両を積み込みやすくするよう、荷台の角度をわずかでもゆるやかにするのを競う角度競争や価格競争が繰り広げられた。

 花見台自動車はダンプカーに油圧ショベルを積めてダンプとしても利用できる「セフテーローダ・ダンプ」という新分野の製品を生み出してヒットさせた。車両を2台並べて積める装置、ブルドーザーや建設機械を載せる大型重機運搬車などを発案して大企業に対抗した。「装置と市場を一からつくり上げ、全てを知り尽くした苦労が強みになる」と能條社長は前向きに考え続けた。89年に事業拡大のためにいわき市の工業団地で新工場を稼働させ、本社も横浜市から移した。用地を拡張して第2工場も建てた。

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