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ACLで日本勢苦戦 実戦不足、組織プレー生かせず

サッカージャーナリスト 大住良之

サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で日本勢が苦戦している。1次リーグ全6節の第2節を終え、柏が1勝1分けでE組の首位に立っているものの、F組のG大阪、G組の浦和、そしてH組の鹿島はいずれも連敗スタート。3チームはそれぞれの組で最下位となり、厳しい状況に立たされている。

AFCランキング、柏の16位最高

2007年に浦和が、そして08年にはG大阪が優勝を飾り、Jリーグの力を全アジアに見せつけたACL。しかし以後は決勝進出もなく、アジア・サッカー連盟(AFC)が過去4年間のACLの成績をもとに発表している「クラブ・ランキング」では12年に準決勝に進出した柏の16位が最高という状況だ。

ACL本戦は32チームが出場し、アジアを東西に分けて1次リーグを開催する。西ブロックが4組、東ブロックが4組。昨年までは日本から4クラブが自動出場していたが、今年は規約が変わり、自動出場は多い国で3クラブ。日本も「4番手」のチームは今年からプレーオフを戦わなければならなくなった。それが柏だった。

柏は2月17日にそのプレーオフ(1戦制)をホームで戦い、タイのチョンブリと対戦して延長戦の末かろうじて3-2で押し切り、本戦出場を決めた。

「始動から4週間でこの試合を迎えるということが最も厳しかった」。試合後、吉田達磨監督はそう話している。

通常、Jリーグのクラブは1月下旬にトレーニングをスタートさせ、2月後半にいくつかのトレーニングマッチを入れて仕上げる。今季の開幕は3月7日。ほぼ6週間の準備というのが普通の形だ。しかし2月17日にACLのプレーオフが入った柏は、4週間で公式戦に突入することになった。

この試合で柏は数多くのチャンスをつくり、シュートを放ったがなかなかゴールの枠をとらえきれなかった。そしてなんとか得点するたびにあっさりと同点とされ、延長戦まで戦うことを余儀なくされた。

吉田新監督の下、攻撃的なサッカーを志向して4-3-3システムで臨んだ。パスはよく回るのだが、ペナルティーエリアに入っての精度を欠いた。そして守備では、チャレンジとカバーの関係が不明瞭になるときが何回かあり、そこを突かれて失点した。

中韓のリーグにも同じような問題

「4週間の準備」はACLだけのためのものではない。12月まで続くJリーグの1シーズンを乗り切るための準備でもあり、体づくりをおろそかにできない。

通常、シーズンに入って数試合はゴール前の精度や守備のリズムなどで多少ずれるところがあり、戦いながらそれを修正していってトップフォームが完成する。

もちろん、日本だけがこうした状況ではなく、韓国や中国のリーグも3月開幕で、同じような問題を抱えている。しかし個人の能力に頼るのではなく、組織的なチームプレーを主体とする日本のクラブはよりその差が激しいように見える。

浦和、「ピンチ」の感覚鈍く失点

浦和は第1節(2月25日)をアウェーで戦い、韓国の水原を相手に先制点を取ったものの後半動きが落ち、FKなどで逆転されて1-2で敗れた。そしてホームで迎えた第2戦(3月4日)では、オーストラリアのブリスベンに0-1で敗れた。

ACLの2試合の間に富士ゼロックス・スーパーカップ(2月28日、G大阪戦)が入り、ブリスベン戦が今季3試合目だった浦和は、試合全体としては前の2試合よりはるかに動きがシャープになり、良い攻撃を繰り出したが、2つの大きなミスが出た。

2分、攻め込まれてはいたが攻め崩されたわけではないところからの失点。相手からボールを取り戻しながら「ピンチ」の感覚が鈍く、クリアせずに持とうとしてまたボールを失った。最後は自陣ペナルティーエリアのすぐ前でMF柏木がコントロールしきれなかったところを奪われて突破され、先制点を許した。簡単にクリアしていれば防げた失点だった。

そして後半、2人の交代選手を投入すると、攻撃は一挙にスピードアップし、47分、48分、50分と立て続けに決定的なチャンスをつかんだ。しかし51分に気の抜けたバックパスを受けたDF那須が切り返そうとしたところを奪われ、そのまま独走されそうになった相手を引き倒し退場。これで相手を楽にしてしまった。

DFラインのパス回しでのミスは昨年の終盤からの悪癖だが、試合をこなしていればもう少し自然に「危ない」という感覚が働き、防げたはずのプレー。しかしそれが働かず、敗戦につながるという結果となった。

鹿島は初戦、ホームに昨年度チャンピオンのウェスタンシドニー(オーストラリア)を迎え、後半立ち上がりのオウンゴールによる失点を一度は取り戻したが、終盤に連続失点して1-3の敗戦。第2戦はアウェーでFCソウル(韓国)と対戦し、0-1で敗れた。エースのFWダヴィが故障で出遅れており、新加入のFW高崎を最前線に置いて戦っているが、まだ周囲と合っていない。

G大阪は初戦ホームで広州富力(中国)に、そして第2戦はアウェーで城南(韓国)にともに0-2で敗れ、まだ得点もない。昨年の国内「3冠」チームだが、調整が非常に遅れていて、攻撃にスピード感が出ていない。

プレーオフから進出の柏、唯一奮闘

唯一奮闘しているのが「プレーオフ」から上がった柏。初戦はアウェーで全北(韓国)と0-0で引き分け、第2戦はホームでビンズオン(ベトナム)に5-1で快勝した。ただ、このビンズオン戦も、前半は圧倒的に押しながら決定的な形をつくれず苦しんでいたが、DFエドゥアルドの2本のロングパスからチャンスをつかんで2得点したことが大量得点につながった。

G大阪、浦和、鹿島の3クラブも、力で負けたわけではない。ただ、ほんのわずかなところで実戦不足が響き、勝負を失っているように見える。

第3節は1週空いて3月17、18日。E組の柏は17日にホームに山東(中国)を迎え、F組のG大阪は18日にホームのブリラム(タイ)戦、浦和は17日にアウェーの北京国安(中国)戦、そして鹿島も18日にアウェーで広州恒大(中国)と戦う。それまでにJリーグの第1節と第2節をこなす4クラブ。このころにはエンジンも「フル回転」になっているはずだ。巻き返しに期待したい。

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