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丸ごとレビュー 13型で世界最軽量 タブレットにもなるノートPC

フリーライター 竹内 亮介

NECパーソナルコンピュータは2月5日、液晶画面を360度回転することでタブレットスタイルに変形できる「コンバーティブル」タイプのノートパソコン「LaVie Hybrid ZERO」シリーズを発売した。13.3型ワイド液晶を搭載するコンバーティブルタイプとしては世界最軽量の926グラムを実現したこと、省電力性に優れるインテルの最新コアiシリーズを搭載することが特徴となる。

液晶をクルッと回転、タブレットに

LaVie Hybrid ZEROシリーズは、同じく13.3型ワイド液晶搭載のノートパソコンとして世界最軽量を誇った「LaVie Z」シリーズの後継モデルだ。2012年に登場した初代以降、「クラムシェル」と呼ばれる一般的なノートパソコンのスタイルを採用し、タッチ対応/非対応の2モデルを用意してきた。

LaVie Hybrid ZEROシリーズでは、タッチ対応モデルに360度液晶画面が回転する機構を組み込み、タブレットとして利用できるようにした。前述したように重さは926グラムで、13.3型ワイド液晶を搭載するコンバーティブルタイプとしては世界最軽量という。今回はこのコンバーティブルモデルの下位モデル「LaVie Hybrid ZERO HZ650/AA」を紹介する。実勢価格は17万円前後だ。

液晶を閉じたり、クラムシェルスタイルで利用したりしているときは、薄型のウルトラブックそのものである。13.3型ワイドと比較的大型の液晶ディスプレーを搭載していることもあり、幅は31.9センチ、奥行きは21.7センチとやや大きめである。厚みは16.9ミリと薄いが、持ち歩いているかばんのサイズによっては収納しにくいかもしれない。

液晶ディスプレーは下部にある2個のヒンジを使い、2軸で360度の回転が可能だ。これにより、液晶ディスプレー部分をクルッと回転させて底面に回し、タブレットスタイルに変形する。かなり自由度の高い構造だけに、耐久性や液晶ディスプレーの角度の保持力が気になるが、くるくる何度回してもしっかりと固定され、保持力は強かった。

また構造上180度開くことも可能なので、差し向かいに座っている人に液晶画面を開き、キーボードやタッチパッドを操作してプレゼンテーションするのも楽だ。タブレットモードに変形すると、キーボードが裏側に回り、入力が無効化されるのは、このタイプではおなじみの機能である。

利用できるのは、一般的なノートパソコンと同じクラムシェルスタイルと、液晶画面を360度回転させたタブレットスタイルの2つだ。タブレットスタイルでは持ち方を変えるとジャイロセンサーがそれを感知し、自動で表示方向を切り替える。クラムシェルスタイルでは、当然そうした機能は働かないようになっている。

926グラムと、1キログラムを大きく切ることもあり、実際に持ってみてもかなり軽い。特にタブレットスタイルに変形すると、大きめな液晶サイズからは想像できないほどの軽さだ。

またこのサイズのタブレットは、片手のみで持つことは少なく、両手、あるいは腕全体を使って抱えて持つことが多いだろう。内部の部品のバランスがいいのか、こうしたスタイルで持つとさらに軽く感じ、まるでパソコンの模型のようだ。腕にかかる負担は非常に少ない。薄型なので、抱えて持った時に指に力を入れたり、手のひらを不自然に広げたりする必要もなく、アンドロイドタブレットやiPadを利用する時のように自然に持てる。またビジネスバッグに入れて持ち歩いても、肩に負担を感じるコトはなかった。

最新コアi搭載で低発熱、動作音も静か

搭載CPUは主演算基を2個内蔵する「コアi5-5200U」(動作周波数は2.2ギガヘルツ)、メモリーは4ギガバイト、内蔵ストレージは128ギガバイトだ。メモリーと内蔵ストレージはウルトラブックの平均的なスペックだが、CPUはコードネーム「ブロードウェル」と呼ばれるインテルの最新モデルである。

日常的に使われる複数のアプリで実行速度を計測し、使用感を数値で比較できるベンチマークテスト「PCMark 8」のスコアは2721とかなり高い。中堅クラスのデスクトップパソコンと同じレベルであり、ノートPC向けCPUの性能はここ数年かなり向上していることを感じられる。

最新のコアiシリーズでは従来モデルに比べてさらに消費電力を抑える設計が行われており、CPUの発熱が少ない。発熱が少なければ、冷却に対する負担も小さくなるため、より静かに利用できるようになる。

実際、HZ650/AAでウェブ閲覧や動画再生、マイクロソフトオフィス2013の各アプリを利用した書類作成などを行っても、ファンの回転音はまったくといっていいほど聞こえてこない。今まで使ってきたウルトラブックの中でも、トップランクに入るほどの静かさだった。

従来のウルトラブックでは、薄型化のため、組み込める冷却機構に限界があり、どちらかと言えばファンの回転数が高いことによる動作音が気になるモデルが多かった。しかしHZ650/AAなら、PCMark8など負荷が非常に高いベンチマークテストを実行中でもない限りは非常に静かだ。出先のカフェや自宅で仕事をしたいユーザーにとっては、注目すべきポイントだろう。

液晶ディスプレーは、解像度がフルHD(1920×1080ドット)のIGZOパネルだ。視野角や省電力性に優れるシャープ製のパネルで、上下左右どこからでも見やすい。タッチ操作に対する追従性も優秀で、基本性能の高さと相まって表示や操作に不満を感じる場面はない。

液晶ディスプレーが13.3型とやや大きめであり、キーボードとタッチパッド用のスペースも広く取られている。キーピッチは18ミリと一般的なデスクトップパソコン用キーボードとほぼ同等で、よく利用するメインキーは、薄かったり細くされていたりすることはない。今回の試用でもタイプミスはほとんどなかった。

タッチパッドは実測値で幅9センチ、奥行き6センチと広い。全体をタッチ操作に利用できるタイプで、下のエリアを押し込むことで左クリックや右クリックを使い分けられるほか、タッチパネルのようなマルチタッチによるジェスチャー機能にも対応する。最近のノートパソコンでは一般的な機能だが、タッチパッドのエリアが広いため、操作を間違いにくいのは便利だった。

もうアンドロイドタブレットやiPadはいらない

前機種のLaVie Zシリーズも軽かったが、LaVie Hybrid ZEROシリーズも本当に軽い。タブレットスタイルに変形する機能を追加したことで、利用シーンはさらに広がった。あらゆる生活/仕事空間に持ち込むことができ、メインのパソコンとしても十分なパフォーマンスを発揮できるLaVie Hybrid ZEROは、一般的なタブレットの用途さえカバーしうる強力なパソコンだ。

また、同じくLaVie Hybrid ZEROシリーズに属する「LaVie Hybrid ZERO HZ550/AAB」もまた、13.3型ワイド液晶搭載で779グラムという驚異的なモバイルだ。こちらはクラムシェルスタイルでしか利用できないが、一般的なノートパソコンとしての用途が重要なら、有力な選択肢となる。

竹内亮介(たけうち・りょうすけ)
 1970年栃木県生まれ、茨城大学卒。毎日コミュニケーションズ、日経ホーム出版社、日経BP社などを経てフリーランスライターとして独立。モバイルノートパソコン、情報機器、デジタル家電を中心にIT製品・サービスを幅広く取材し、専門誌などに執筆している。

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