速さにこだわる報道の終わり 読者と協業、価値向上

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2015/3/6 7:00
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■抜けない既存マスメディア的な考え

既に多くのマスメディアがソーシャルメディアを活用している。だが、既存マスメディアの取り組みは、(1)告知や周知のツール、(2)取材のツール、が主なものだ。

(1)では、ツイートやシェアや動画サイトを活用し、記事や番組をできるだけ多くの人に知らせようとする。最近では、コンテンツの一部をネットメディアに展開するという取り組みも見られる。

コンテンツの自前主義が強いマスメディアにとっては大きなニュースに見えるが、これはポータルサイトの時代にも行われてきたことだ。キュレーションサイトなどのプラットフォームの力が強まることに手を貸すにすぎない。また、多様なコンテンツが存在するだけに、コンテンツで差別化することは難しい。

(2)では現場に出くわした利用者に連絡をとり、写真やコメントの提供を求める。ユーザーの反応を分析したり、ツイートから事件をいち早く知ったり、といったソーシャルリスニングの活動も含まれる。もはやソーシャルメディアでは見慣れた光景だが、御嶽山の噴火に遭遇したツイッターユーザーに、各メディアがツイッター経由でコメントを取ろうと殺到したことでひんしゅくを買うなど、使い方には課題も見えてきている。

これは相手の生死も確認しないうちから、「速く」報じたいというメディアの都合が優先されたことが要因だ。これらは「共同作業」ではない。人々を拡声器や取材のネタ元と捉えているにすぎず、記事をつくるのはメディア側だとの意識が抜けきっていない。ユーザーはこうしたメディアの都合を敏感に感じ取っている。

■これまでの常識を疑え

このところ、マスメディア関係者と新しい取り組みについて議論する機会が立て続けにあり、必ずソーシャルメディアとの連携が話題となるが、上にあげた2つの取り組みから先に進まないこともあった。その背景にはこれまでのマスメディアの世界の常識がある。

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