2018年10月21日(日)

4時間でゲーム制覇 グーグル「驚異の人工知能」手中に
宮本和明 米ベンチャークレフ

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2015/3/18 7:00
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■危険を制御しながら開発続行

このKurzweil氏だが、人工知能に対する立ち位置は科学的で、現実的な対応策を提言している。同氏は人工知能脅威論に関し、バイオテクノロジーが参考になるとしている。バイオテクノロジーが登場した当時、遺伝子組み換え技術により、バイオテロを含む危機感が社会にまん延した。このため、1975年に歴史に残る学会(「Asilomar Conference」と呼ばれている)が招集された。この学会でバイオテクノロジーの危険性を評価し、安全性を保証する方針が議論された。

人工知能もこれを参考に、プロジェクトのミッションを定義し、不正使用を防止するための対策が求められるとしている。事実、人工知能学会は、人工知能が社会に与える影響を精査する会議を2009年に同じ場所で開催している(下の写真)。

人工知能学会が開催した会議の様子(出典: The Association for the Advancement of Artificial Intelligence)

人工知能学会が開催した会議の様子(出典: The Association for the Advancement of Artificial Intelligence)

この会議はEric Horvitz氏(Microsoft研究所)が主催し、Sebastian Thrun氏(Google自動運転車開発)やAndrew Ng氏(YouTubeで猫の概念を学習)など、名だたる研究者が出席している。つまり、人工知能は原子力のように危険性も含んでいるが、人間は安全に管理するすべも知っているという主張である。

■米国で高まる「脅威論」

DeepMindのような驚異的な速度で学習するアルゴリズムに接すると、技術進化に対する大きな期待を抱くとともに、恐怖感を抱く人々が登場する。人工知能が人類を破滅させるというのは永遠のテーマであり、映画「ターミネーター」などにも描かれている。

今の米国社会では、人工知能に対する脅威論が広まりつつあるようにも感じる。危惧を抱く人々にいかに対応するかが、IT(情報技術)企業の新しい課題になる。

ちなみにHassabis氏は、買収条件の一つとしてGoogleが社内に倫理委員会を設立することを求めた。GoogleがDeepMindを既存サービスに統合する際に、人工知能の使用目的が社会倫理に反していないかを、公平に審査するメカニズムの制定を求めたものと思われる。

さらに、同氏はGoogleがDeepMindを軍事目的で利用しないことも要求した。開発した本人が、そのメリットだけでなく、社会に与えるインパクトの大きさを一番理解しているからである。

宮本和明(みやもと・かずあき)
米ベンチャークレフ代表 1955年広島県生まれ。1985年、富士通より米国アムダールに赴任。北米でのスーパーコンピューター事業を推進。2003年、シリコンバレーでベンチャークレフを設立。ベンチャー企業を中心とする、ソフトウエア先端技術の研究を行う。20年に及ぶシリコンバレーでのキャリアを背景に、ブログ「Emerging Technology Review」で技術トレンドをレポートしている。

[ITpro 2015年1月27日付の記事を基に再構成]

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