2018年6月24日(日)

4時間でゲーム制覇 グーグル「驚異の人工知能」手中に
宮本和明 米ベンチャークレフ

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2015/3/18 7:00
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■今後5~10年で生活に浸透

 一方、Hassabis氏は英BBCとのインタビューで、DeepMindの応用分野やロードマップについて述べている(下の写真、左側がHassabis氏)。Deep Learningという手法は、今後5年から10年のレンジで、生活の様々な分野に入ってくるとしている。

テレビ番組のインタビューに応えるHassabis氏(出典: BBC)

テレビ番組のインタビューに応えるHassabis氏(出典: BBC)

 家庭向けロボットは、家の中を掃除したり家事をすることを想定しているが、ここにDeepMindを適用すると自律的な意思決定が可能となる。現行ロボットはプログラム外の事象に遭遇するとうまく対応できないが、DeepMindを搭載すれば自らが驚異的な速度で学習を重ね、幅広い事象への対応が可能となる。

 現在、自動運転車の開発・テストが世界的に進められているが、ここにDeepMindを適用すると、輸送システム全体が革新的に変化する可能性を秘めている。

 Hassabis氏が最も期待しているのは科学技術への応用だ。マクロ経済、気象、医学、エネルギー分野に適用すると、人工知能が人間の科学者に代わって研究するモデルが可能となる。

 今は優秀な科学者が大量に生成されるデータを元に研究を重ねているが、人間が学習できる範囲には限界がある。DeepMindは大量のデータを学習し、人間の研究者に代わって、研究開発を行う構想を描いている。DeepMindが研究を重ねれば、人間が研究するより科学技術の進化が早まると期待している。

■「今後5年以内に問題が起こる」

 一方、人工知能が驚異的な速度で学習することに対して、恐怖を覚える人々も登場してきている。米Teslaや米SpaceXの創業者であるElon Musk氏はWebサイトで、人工知能は深刻なリスクを内包し、5年以内に問題が起こると述べている。

 人工知能が人間の知能を上回り、「スーパーインテリジェンス」が世界を制覇するという危機感の表れである。Musk氏は繰り返し問題点を指摘しているが、その根拠の一つがDeepMindにある。DeepMindが驚異的な速度でゲームを学ぶことを見て、危機感を抱いたとされる。

 さらに、インターネットには膨大な“教材”がそろっており、人工知能が学習できる環境がある。Musk氏はこれを悪用することに対する懸念も表明している。悪意のあるものがここに逃げ込み、学習を重ねることを阻止する必要があると述べている。

 ちなみにMusk氏もDeepMindに出資しており、危険性を高める側にいるのも事実である。同時に、人工知能の威力を把握しているため、このような発言につながったとみられている。

■「知能の爆発」が起こる

 Musk氏に代表される人工知能脅威論に対し、反対意見を唱える人も少なくない。未来学者のRay Kurzweil氏は、Musk氏の発言を受け、人工知能を安全に利用する方法に言及し、人工知能脅威論にくぎを刺している。

 実は、人工知能脅威論の源流はKurzweil氏の著書「The Singularity is Near」に遡る。この著書は、2029年に人工知能がヒトの頭脳を上回り、2045年にはSingularity(特異点=知能の爆発)に達するという内容で、社会に大きな波紋を投げかけた。筆者はKurzweil氏の講演会でこの説明を聞いたが、そのときの強烈なインパクトを今でも鮮明に覚えている。

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