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J1、3強軸にV争い 「走る」昇格3チームが新風

サッカージャーナリスト 大住良之

28日の富士ゼロックス・スーパーカップ(横浜)を号砲に、日本サッカーの2015シーズンがスタートを切る。すでにアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は、2月17日にプレーオフ(柏―チョンブリ=タイ)が行われ、1次リーグも24、25日の第1節で開幕してG大阪、浦和、鹿島も「実戦」に突入している。しかし全チームがスタートラインに立つのは、やはり3月7日のJリーグ(J1)開幕だ。

ステージVか、年間3位入りか

今季のJ1は、05年から10シーズン続けられてきた「18クラブによる2回戦総当たり」というフォーマットが変更される。クラブ数に変更はないが、1回戦総当たりの「ステージ」を2回戦い、それぞれの優勝チームを決める。そのうえで、両ステージ合わせた「年間勝ち点」で1位から3位のチームにそれぞれのステージの優勝チームを加えた最大5チームによるノックアウト方式の「チャンピオンシップ」が行われ、その勝者が「年間王者」となる。

チャンピオンシップにどのチームが残り、どんな組み合わせになるのかは、実際には非常に複雑で、もしかしたらJリーグの運営担当でもスラスラとは答えられないかもしれない。ひとつはっきりしているのは、「どちらかのステージで優勝するか、年間勝ち点で3位までに入らなければ出場資格はない」という点だ。すなわち、今季の戦いは、とりあえず、この枠を目指す戦いとなる。

G大阪、決定力にあふれた攻撃

「Jリーグは世界で最も競争が厳しいリーグ」。そう指摘するのは、06年6月に広島の監督に就任、12年からは浦和の指揮を執って今年Jリーグで10シーズン目を迎えるミハイロ・ペトロビッチ監督(57)だ。一昨年のリーグで4位に躍進し、スター選手をそろえて人気も急上昇していたC大阪が、昨年は10年ワールドカップMVPのウルグアイ人FWフォルランとドイツ代表FWカカウらを補強しながら、17位にとどまってJ2に降格したことに、その厳しさが象徴されている。どんな順位の相手でも、少しでも気を抜いたら手厳しい結果になる。

今季も、優勝(というより年間勝ち点1位)を予想するのは非常に難しい。

昨年、ナビスコ杯、天皇杯と合わせて3冠となったG大阪は、大きな補強はなく、ほぼ戦力を保って新シーズンに突入する。長谷川健太監督(49)は就任3季目。MF遠藤保仁を中心にFW宇佐美貴史、パトリック、MF阿部浩之ら決定力にあふれた攻撃が特徴で、右から上がるDF米倉恒貴のスピードも魅力だ。GK東口順昭とDF岩下敬輔を中心とする守備陣も、昨年長足の進歩を遂げた。中盤の要となるボランチのMF今野泰幸が故障により開幕からしばらく出場できないのは痛いが、横浜Mから獲得した守備力に定評のあるボランチ小椋祥平がその穴を埋めるか。

大量補強の浦和、攻撃力に磨き

このG大阪に対抗するのは、昨年最後の最後にタイトルを逃した浦和と、20歳そこそこの若手を数多く使いながら最後まで大崩れしなかった鹿島か。

浦和はペトロビッチ監督がクラブ史上最長の4シーズン目の指揮を執り、独自の攻撃的サッカーに磨きをかける。今季は昨年出番が少なかった選手の大半を放出。期限付き移籍からの復帰を含めて11人もの新戦力を獲得した。

FWズラタン(←大宮)は悩みだった決定力不足の解決に大きな力になるはずだ。ズラタンとともに石原直樹(←広島)、武藤雄樹(←仙台)、高木俊幸(←清水)とFWを4人も補強したところに、今季にかける意気込みがみえる。だがもしかすると、最大のプラスはDF橋本和(←柏)かもしれない。左足から繰り出される速く正確なクロスは、プレシーズンマッチで絶大な威力を発揮した。

鹿島は大きな補強はないが、伸び盛りの若手がひしめき合っているだけに、昨年の3位という成績を自信と悔しさに、さらなる伸びが期待できる。18年のワールドカップを目指す日本代表の中心になることは間違いないMF柴崎岳を中心に、3シーズン目となるトニーニョ・セレーゾ監督(59)がぶれない指揮を見せる。

3強を追う柏・川崎・FC東京

この「3強」を追うのは、柏、川崎、FC東京などだろうか。

柏は日本人の若手指導者のなかで異彩を放つ俊英といわれる吉田達磨新監督(40)が就任、超攻撃的なサッカーを目指す。オランダからFW大津祐樹が戻り、破壊的スピードをもつFWクリスティアーノ(←甲府)も加入、大幅にイメージが変わった。

川崎は風間八宏監督(53)就任4季目。守備陣に角田誠(←仙台)、攻撃陣に杉本健勇(←C大阪)を補強した。MF中村憲剛とFW大久保嘉人の「Jリーグで最も熱いライン」も健在で、今年も攻撃的サッカーを見せる。

イタリア人のマッシモ・フィッカデンティ監督(47)率いるFC東京はFWに前田遼一(←磐田)を補強。昨年エース格だったFWエドゥーを失った(→全北現代)のは痛いが、最前線での前田の技巧と戦術的プレーがFW武藤嘉紀の破壊力を引き出す可能性は大だ。

2ステージ制だけでなく、Jリーグ2015には時代を動かす新しい風が吹く予感がある。その動きを生むのは、J2から昇格した3クラブだ。湘南、松本、そして山形。

昇格組、走ることに絶対の自信

湘南を率いるのは就任4季目の曺貴裁監督(46)。1年目にJ1昇格を果たし、1年で降格したが、ポリシーを曲げず、最後まで走りきるサッカーをさらに徹底して昨年のJ2では圧倒的な強さで優勝した。松本を初めてのJ1に導いた反町康治監督(50=4季目)もハードワークと縦に鋭い攻撃で活路を開いた。そして山形は石崎信弘監督(56)就任1年目の昨年、プレーオフで奇跡的な勝利をつかんだ。

いずれもクラブの予算規模は小さく、ビッグネームをもつ選手はいないが、その分、「走る」ことに絶対の自信をもっている。どのチームも終盤まで運動量が落ちず、共通して最後の15分間で最も多くの得点を記録する。

どんなスタイルでも「運動量」は重要な要素だが、今季J2から昇格した3チームはそれを徹底し、監督たちも決して妥協しない。その姿勢が生んだ昇格だった。3チームとも昨年の主力を何人か失っているが、「走る」というベースに揺るぎはない。順位や成績以上に、この3チームがJ1に新しい息吹を吹き込み、新しい時代へ導いてくれるのではないかという大きな期待を、私は抱いている。

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