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巨大カルデラ噴火の脅威 浮かび上がる実態

日経サイエンス

大地に直径10キロメートル以上ものくぼみ(カルデラ)を生み出す「巨大カルデラ噴火」。膨大な量のマグマが噴出して、火砕流など周囲に甚大な被害を及ぼす大規模な噴火が、日本列島周辺で7000~1万年に1回ほどの頻度で起きている。九州南方の種子島や屋久島に近い海域で直近の7300年前に起きた鬼界カルデラ噴火の研究で、噴火当時の状況が浮かび上がってきた。

マグマだまりが崩壊

現在の鬼界カルデラは海底にあり、東西20キロメートル、南北17キロメートルの大きなくぼみだ。巨大カルデラ噴火の直前には、そのあたりにかなり大きな島または群島があり、地下3~7キロメートルには現在のカルデラに近い広がりを持つマグマだまりが存在していたようだ。

巨大カルデラ噴火は2段階に分かれる。第1段階は、マグマだまりと地表との間に亀裂が走り、1本の通り道(火道)ができたことから始まる。マグマは火口から上空に向けて噴出、雄大な噴煙柱が形成される「プリニー式噴火」が起きた。第1段階では複数回のプリニー式噴火が起き、全体として少なくとも数日間は続いた可能性がある。

そして第2段階が始まった。マグマだまりは直径10キロメートル以上、厚さ1キロメートル程度の薄い円板状で、噴火前は1000気圧以上のマグマで満杯になっていた。高圧のマグマは、いわば広大な地下空洞の天井を支える柱としての役割を果たしていた。ところが数度のプリニー式噴火でかなりの量のマグマが放出されると、マグマだまり内の圧力が低下、マグマが支柱としての役割を果たさなくなった。

マグマだまりの天井を構成する直径10キロメートル以上、厚さ数キロメートルの巨大な岩盤は、マグマだまりの側壁だけで支えきれるものではない。側壁上部の至るところから地表に達する亀裂が走り、そこを伝って高温高圧のマグマが噴出、激しい火山爆発を起こし始めた。

最終的には、そうした亀裂が相互につながって直径10キロメートル以上ものリング状の火口が形成されたようだ。

鹿児島にも火砕流や津波

マグマだまりの天井を構成していた岩盤は、周囲の岩盤と切り離され、マグマだまりの中に落ちることになる。落ちる先にはマグマが満ちているので、落下する岩盤はピストンとなってマグマを押し込む。すると膨大な量のマグマが、リング状の火口から一気に噴出、大火砕流が発生した。

火砕流は40キロメートル以上離れた種子島や屋久島、さらには九州本土に上陸し、現在の鹿児島市街地近くまで到達した。大津波や大地震も発生したとみられている。

(詳細は25日発売の日経サイエンス4月号に掲載)

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