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守・破・離への道(岡田武史)

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FC今治で未知の世界に挑む喜びと重圧

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2015/2/24 7:00
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W杯にしてもアジア杯にしても結果が出ていないのに内容がよかったですませていては、背後にある問題に気づかないで大きな落とし穴に落ちてしまう危険がある。こうしたことを繰り返していると「誰がやっても一緒」「何をやったって変わらない」という不信感が広がってしまうのではないかと心配になる。日本の政治状況に似てくるんじゃないかと。

日本サッカー協会をはじめ、サッカー関係者が「どうして負けたのか」という分析をしなければならない

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サイズはスモールでも中身は負けぬ

さて、FC今治の話に戻りたい。一般的にプロのサッカークラブは、人事や経理や事業といった総務系の部門と、選手を下部組織で育てたり、効果的な補強などでチームを強化、編成したりする強化部門の2本柱で成り立っている。J1やJ2のクラブとは比べものにならないが、FC今治もささやかながら、そんなフロントを備えようと頑張っているところだ。

サイズはスモールでも中身は負けない。そう胸を張れるのが普通のクラブでは「強化部」と呼ばれる部署とは別に「メソッド事業本部」があることだ。今治独自のトレーニング方法である『岡田メソッド』を理論的かつ実践的に練り上げ、普及させ、時代に合わせてバージョンアップもしていく。FC今治の肝ともいえる部門である。

このメソッド事業本部の門をくぐってくれたのが大木武、吉武博文、真藤邦彦といった面々だ。大木はJリーグの甲府や京都で監督を務め、2010年のW杯南アフリカ大会ではコーチとして監督の私を補佐してくれた。

吉武は育成年代のスペシャリストとして知られる。大分トリニータの育成部門で働く前は教員経験があり、指導力を買われて日本サッカー協会の仕事に転じるとU-17(17歳以下)W杯に日本代表を11年、13年と2大会連続で出場させた。

61歳とスタッフ最年長の真藤さんは広島をベースに活動され、教員生活を経てサンフレッチェ広島の育成部長や日本サッカー協会の指導者養成ダイレクターなどを歴任されてきた。

自分自身が今までの自分以上のものに

みんながみんな、素晴らしい指導者だが、私が彼らに感じた一番の魅力は私の言うことが違うと思ったときは「オカさん、それは違う」とはっきり言ってくれるところだった。これから今治から発信するメソッドは日本サッカーの在り方を大きく変える可能性を持っていると思っている。でも、それだけの喚起力を持たせようとしたら「自分自身が今までの自分以上のものになっていかないといけない」とも思っている。自分のサッカー観を示したときに「そのとおりですね」「おっしゃる通りですね」と言われるばかりでは何の進歩もない。自分一人のアタマで考えられる範囲よりも、サッカーというスポーツははるかに幅が広く、奥も深いのだから、一人でも多くの優れた人間の知見を持ち寄る必要がある。

吉武についてはかねて仕事ぶりを注目していた。私が中国の杭州緑城の監督をしていたころ、緑城のユースチームを連れてサニックス杯国際ユース大会(福岡)に出たことがある。そのとき、吉武はU-17日本代表を連れてきていて口をきくようになり、素晴らしい能力の持ち主だと思うようになっていた。

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