2019年2月24日(日)

バッハが笑う……NTT、写真や絵を動かす光投影技術

2015/2/18付
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日経テクノロジーオンライン

NTTは2015年2月17日、人間の錯覚を利用して写真や絵に動きを与える光投影技術「変幻灯」を開発したと発表した。この技術を使えば、印刷した炎や風景画が風に揺れたり、肖像画が表情を変えたりするといった表現ができるようになる。同社ではサイネージ(屋外広告など)やインテリア、エンターテインメントなどの幅広い分野への応用が可能としている。

厳しい表情をした肖像画のバッハが、緩んだ表情に

厳しい表情をした肖像画のバッハが、緩んだ表情に

変幻灯は写真などの静止対象物が動く動画像を作成し、そこからモノクロの動き情報を取り出したものを、プロジェクターで対象物に投影して実現している。モノクロの動きを対象物に加えることで、止まっているものが動いて見えるようになる。人が自然な動きを知覚する際に働く、視覚メカニズムの科学的知見を応用したものである。

人の脳は映像中の色や形、動きを個別に処理して、それらを統合して1つの世界を見ているという。変幻灯を見た際には、色や形の情報を写真などから得て、動きは投影したモノクロ動画像から取得する。止まっている色や形と、動くモノクロ画像との間にずれが生じるが、そのずれを脳が補正して統合していく。ユーザーは、色や形、動きのずれに気付くことなく、静止した写真などがあたかも動いているように感じることになる。

変幻灯の仕組み

変幻灯の仕組み

NTTは「従来のプロジェクションマッピングとは異なる視覚体験を、簡便な方法で生み出せるのが変幻灯の特徴」だと話す。既存のプロジェクションマッピングの場合、対象物に新たなカラー動画像を映し出すため、対象物の模様が見えなくなる。さらに暗い場所で投影する必要があり、動画像の作成にも時間を要する。これに対して変幻灯では、対象物の模様を生かしながらその模様を動かせるため、明るい場所での投影に適している。動画像も簡単な画像処理だけで作成可能だ。

変幻灯は2次元の対象物だけでなく、3次元の対象物にも適用できるという。対象物の前面に設置した透過型ディスプレーにモノクロの動画像を表示して、3次元対象物に重なる場所から見ると、対象物が動いて見えるようになる。

3次元の対象物に適用する場合

3次元の対象物に適用する場合

(日経テクノロジーオンライン 河合基伸)

[日経テクノロジーオンライン 2015年2月17日掲載]

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