2018年6月24日(日)

人工知能が走行制御 進む自動運転車の「スパコン化」
宮本和明 米ベンチャークレフ代表

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2015/3/4 7:00
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 下の写真はAudiのイメージをCNNで解析するプロセスを示している。左から右に向って処理が進む。左側は入力イメージから、Audiの低次元の特徴(単純な形状など)を抽出し、処理が進むにつれ、高次元の特徴(タイヤなど)を抽出し、自動車全体を把握する。低次元の特徴を抽出することで、Audiを形成する不変の要素を把握できる。

AudiのイメージをCNNで解析するプロセス(出典: NVIDIA)

AudiのイメージをCNNで解析するプロセス(出典: NVIDIA)

 さらにCNNを教育すると、その後は自動でオブジェクトを区分できるようになる。これが、画像認識の定番技法となっている。

 このケースではニューロン(計算素子、写真の丸の部分)の数は6万5000(ロブスターの脳の半分程度)で、パラメーターの数は6000万。このプロセスには大規模な演算量が必要となるため、NvidiaのGPUが威力を発揮する。

 ちなみに、市場には様々なDeep Learning開発フレームワークがあるが、Nvidiaは米カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)が開発した「Caffe」をサポートしている。

■画像認識精度が大幅に向上

 CNNが一躍注目を集めたのは、2012年に行われた画像認識に関するコンテスト「Large Scale Visual Recognition Challenge」である。このコンテストは、120万の画像に何が写っているかを、1000のクラスに分類する競技である。

 画像認識の精度は毎年数%しか向上していないが、2012年は10%と大幅に向上した(下の写真)。これはNvidiaの GPUでAlexNetを稼働した成果で、CNNの実力が世界に認められた年となった。ちなみに2014年は、米Google(グーグル)が「GoogLeNet」で圧勝している。

画像認識精度の変遷(出典: NVIDIA)

画像認識精度の変遷(出典: NVIDIA)

■無人で時速200キロ走行

 NvidiaはAudiと10年にわたって共同開発を続けており、Audi上級副社長のRicky Hudi氏はDrive PXを採用する計画を明らかにした。既に開発を進めている画像認識システムのプラットフォームとして、Drive PX を使う。これは超並列システムと機械学習(Machine Learning)を応用したシステムで、Audiの自動運転車が市場に登場するのはそう遠くないとしている。

 実際、Audiは自動運転車「RS7」のコンセプトカー「Bobby」を、ドイツのホッケンハイムレース場で試験走行し、時速200キロで走行することに成功した(下の写真)。自動車にドライバーは搭乗しておらず、自律走行でレース場を駆け抜けた。ここはF1レースが開催される名門コースで、Bobbyの“スキル”はトップレーサーの技術に相当する、との評価を受けた。

Audiは自動運転車「RS7」のコンセプトカー「Bobby」を、ドイツのホッケンハイムレース場で試験走行(出典: Audi)

Audiは自動運転車「RS7」のコンセプトカー「Bobby」を、ドイツのホッケンハイムレース場で試験走行(出典: Audi)

 また、Audi の「A7」をベースにした自動運転車「Jack」は、CESの開催に合わせて、米カリフォルニア州のシリコンバレーからラスベガスまで、自動運転で走行するデモを披露した。

 ここ数年、世界の大手自動車メーカーによる自動運転技術の開発競争が激化しているが、Nvidiaがプラットフォームを提供することで、開発速度はさらに高まるだろう。自動運転技術のトップランナーはGoogleとの見方は多いが、Nvidiaの協力を得た自動車メーカーが巻き返す可能性はある。

宮本 和明(みやもと・かずあき)
米ベンチャークレフ代表 1955年広島県生まれ。1985年、富士通より米国アムダールに赴任。北米でのスーパーコンピューター事業を推進。2003年、シリコンバレーでベンチャークレフを設立。ベンチャー企業を中心とする、ソフトウエア先端技術の研究を行う。20年に及ぶシリコンバレーでのキャリアを背景に、ブログ「Emerging Technology Review」で技術トレンドをレポートしている。

[ITpro 2015年2月3日付の記事を基に再構成]

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