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松坂再生で投手王国へ ソフトバンク、先発争い激化

米大リーグから9年ぶりに日本球界に復帰したソフトバンクの松坂大輔(34)が、完全復活を果たすべく宮崎市での春季キャンプでじっくりと投球フォームを固めている。「1年間しっかり働けるように」とシーズンを見据える右腕が先発ローテーションの軸となれば、駒のそろった投手陣による先発枠争いがさらに激化することは必至。工藤公康新監督の下、日本シリーズ連覇を狙うチームを活性化できるか、松坂の再生がカギを握る。

先発復帰へフォームの悪い癖修正

西武時代の8年間で108勝を挙げた「平成の怪物」は、大リーグでも2007年のデビューから2年連続で2桁勝利をマーク。だが、11年6月に右肘靱帯の再建手術を受けた影響もあり、レッドソックス時代の08年に18勝3敗の好成績を残した後は2桁勝利から遠ざかっている。

昨季もメッツで主に中継ぎが持ち場だった松坂が、帰国の理由の一つに挙げたのが安定した先発登板機会の確保だった。「僕は先発をやることで自分の選手寿命をまだまだ延ばせると思っている」。スターターとして再起を図る今季、キャンプでまず手をつけているのが「長年の悪い癖」と自覚する米国時代に染みついたフォームの修正だ。

2月1日のキャンプイン当初のキャッチボールでは、体の開きが早くて下半身をうまく使えず、右腕の振りが「横振り」になってシュート回転する球が目に付いた。この悪癖を改善しようと助言を仰いだのが、新任の佐藤義則投手コーチだ。

初めてブルペンで本格的な投球練習をした5日は、セットポジションで構えた松坂の背後や左斜め後ろに佐藤コーチが度々ぴったりと立って、左肩が早く開かずスムーズに前方に体重移動できるよう、強制的な"治療"を施した。

打撃投手で48球、実戦に向け手応え

「効率よく腕を振っていくための作業。立ってもらうだけでも効果があるのでしばらく続けたい」「佐藤さんとは同じ感覚なのでやりやすい。分からないときは聞いて、いかに体に覚えさせるか」と松坂。キャンプ序盤は「僕がいい形で投げられるようにするための球種」と腕を上から振り下ろすカーブを多投したり、通常のプレート位置より後方から投げ込んだりと、球の質を高める工夫を重ねた。

第3クール初日の10日には、捕手を座らせて今キャンプ最多の143球を投げた。球数制限のあった大リーグではやれなかった集中的な投げ込みで、踏み出す歩幅を従来の6足半から少し広げることにも挑戦。日本と比べて土が硬く、着地する左足への負担も重い米国のマウンドではできなかった試みで、リリースポイントをより前にして球に切れを出すのが狙いだ。

フォームを固めるための試行錯誤の取り組みはしばらく続きそう。工藤監督も「自分の考えていることがあれば、その通りにやってほしい」と繰り返し、松坂の自主性を尊重する方針を打ち出している。

マイペース調整で徐々に課題をクリアしていく過程で、実戦に向けた手応えもつかみつつある。3万1800人のファンが来場した第4クール初日の14日には、初めて打撃投手として登板。高田知季(24)、牧原大成(22)の若い左打者2人に直球とカーブ、スライダー、チェンジアップ、カットボール、シュートの計48球を投げて、許した安打性の当たりは7本。スライダーで牧原のバットを折る場面もあった。

大隣・武田ら他の投手に大きな刺激

日米通算164勝のプライドをかなぐり捨てるような貪欲な姿勢、キャンプ地のファンの視線を一身に集める存在感は、先発ローテ入りを狙う他の投手陣にも大きな刺激を与えている。

昨夏に病気とけがから1軍復帰を果たし、ともに日本シリーズで好投するなどシーズン終盤の活躍が光った左腕の大隣憲司(30)と右腕の武田翔太(21)の士気も高い。「先発ローテを1年間守り抜く」を今季のテーマに掲げ、腕を磨いている。

13年6月に難病の黄色靱帯骨化症の手術を受けた大隣は、今も背中に出る張りと相談しながらのブルペン入りだが、ここまでの仕上がりは順調。「まずは球の切れと強さを取り戻したい」と持ち味である球持ちのよい速球の精度を高めている。左腕は「実績、経験数が比べものにならない」と松坂に敬意を表しつつ「自分自身がローテに入りたいので、先輩後輩は関係なくやっていく」と遠慮はない。

肩痛に苦しんできた武田はオフの間から、右肩周りの強化や体幹トレーニングに時間を割いてきて「やっと(筋肉が)付いてきたかな」と成果を実感している。今、追求しているのは「思い切り腕を振らなくてもピュッといく球」。同じ球速150キロでも打者に速いと体感させることで、縦に割れる大きなカーブの効力は増す。「開幕投手を狙いにいく」と鼻息は荒い。

「若い選手の乗り越えるべき壁に」

摂津正(32)、中田賢一(32)、スタンリッジ(36)を先発3本柱に据え、残る先発3枠を岩崎翔(25)、東浜巨(24)、飯田優也(24)ら最大6人に競わせた昨季と比べても、さらに豪華な布陣となったソフトバンク投手陣。松坂が年間を通してフル回転すれば、先発枠を巡る競争はさらに厳しいものとなっていく。

「若い選手に、乗り越えていかなければいけない壁だと思ってもらえるようにやらなきゃいけない」と松坂。工藤新体制下で強固な投手王国を築くという使命感も帯びながら、新天地でのシーズンに臨む。

(常広文太)

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