2019年1月20日(日)

なにわのシンボル「通天閣」、世界初の展望塔免震化
日本大改造(1)

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2015/2/24 7:00
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■安心感と意匠も高く評価

(資料:竹中工務店)

(資料:竹中工務店)

通天閣観光が竹中工務店の免震提案を採用した理由は、揺れの低減効果だけではない。例えば、工事期間中に周辺に及ぼす影響を評価した。

耐震改修では上層部の展望台を支える鉄骨を大断面化したり、制震改修ではダンパーを取り付ける工事で高所作業を伴ったりする。これらは繁華街を行き交う通行人に不安を与える恐れがある。

文化財としての価値を重く見た点も高い評価を受けた。竹中工務店大阪本店設計部設計第4部門構造グループの松原由典副部長は、意匠面での配慮をこう振り返る。「提案では、登録有形文化財の建築物として、新設時の外観をできる限り維持することにも重点を置いた」。

耐震や制震による改修では、塔上部の外観が部材の大断面化や制震ダンパーの設置で変わってしまう。免震改修は、地上から10mの脚部の中ほどに免震装置を埋め込んで免震層とすれば、塔の上部には手を付けずに済む。

■エレベーターの分断がプラスに

通天閣は構造上、免震改修に向いていた。改修後の建物では、免震層より上の部分と下の部分における地震時の揺れが異なる。そのため、塔のような建物で免震層を設けると、その上部と下部を貫くエレベーターの昇降路が地震で大きな被害を受ける恐れがある。

ところが、通天閣では2階までのエレベーターを別棟に設けており、本体のエレベーターは2階よりも上にある。そのため、1階と2階の間に位置する脚部に免震層を加えれば、エレベーターの安全性を確保できる見込みとなった。

高井副社長は、「来場者に不評だったエレベーターの分断が、免震改修するうえでプラスになるとは思わなかった。世界初の技術による改修であることを一般の人にもアピールして集客に生かしたい」と意気込んでいる。

2階までのエレベーターを別棟(左端)に設けていたことが免震改修には好都合だった。エレベーター棟や屋外階段と塔との間にエキスパンションジョイントを加える(写真:日経コンストラクション)

2階までのエレベーターを別棟(左端)に設けていたことが免震改修には好都合だった。エレベーター棟や屋外階段と塔との間にエキスパンションジョイントを加える(写真:日経コンストラクション)

(日経コンストラクション 安藤剛)

[日経コンストラクション2014年10月13日号の記事を基に再構成]

[参考]日経BP社は2015年2月23日、書籍「日本大改造2030―この国を変える250のインフラ事業―」を発売した。日本が"成熟社会"に移行して久しいが、その日本を支えるインフラは、これから大きく変化を遂げようとしている。少子高齢化や人口減少、リスクが高まりつつある自然災害、財政難といった様々な課題を受け、将来の日本の姿を想定したインフラの再構築が始まっている。本書では、日本の社会や経済を根底から支える事業の動向や計画、具体的なプロジェクトを、臨場感あふれる写真や詳細な図面などとともに紹介している。

日本大改造2030―この国を変える250のインフラ事業─

著者:
出版:日経BP社
価格:3,024円(税込み)

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