2019年7月24日(水)

航空機の世界第三極 中京地区に誕生

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2015/2/4付
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戦後70年を迎える。焼け跡から立ち上がり日本の高度成長に貢献したのは重厚長大型産業が立ち並んだ四大工業地帯だ。バブル崩壊を経てグローバル化が進む今、各地域で産業や技術の新しい集積が芽生え始めた。第1部では航空機産業や宇宙関連企業の連携が進む中京エアクラスターの全貌に迫る。

■異色の巨人同士が握手

MRJの量産にはロボットの大胆な活用も進める計画(三菱重工業の小牧南工場、三菱航空機(株)提供)

MRJの量産にはロボットの大胆な活用も進める計画(三菱重工業の小牧南工場、三菱航空機(株)提供)

2014年12月。航空機産業とは無縁だった会社が米ボーイングの機体生産を手掛ける三菱重工業大江工場(名古屋市)を訪れた。産業用ロボットで世界シェア首位のファナックだ。「ぜひ力を借りたい」。三菱重工交通・輸送ドメインの冨永史彰副ドメイン長はファナックの稲葉清典専務取締役に呼びかけ、真剣なまなざしを向けた。

稲葉氏は国産ジェット旅客機「MRJ」を開発中の小牧南工場(愛知県豊山町)にも足を運んだ。「(主翼のアルミ合金の)外板と骨組み材を取り付ける作業をロボットでできないか」「胴体パネルのリベット(びょう)による接着を高効率にできるのでは」。ロボットを使った次世代生産技術の実用化を視野に、両社は急接近し始めた。

ロボット導入は省人化や安定した品質だけでなく、工作物を固定したり加工位置を決めるための治具を減らしたりできる。「動く・止まる」のロボット制御技術で自動車を中心としたものづくり現場を変えてきたファナックの航空機産業デビュー。並んでMRJは5月にも初飛行し16年以降量産が始まる。競合するエンブラエル(ブラジル)に立ち向かうには品質、コスト、納期に革新性がいる。異色の巨人同士の握手はその第一歩だ。

日本の航空機産業の生産額は約1兆4900億円ある。三菱重工や川崎重工業が基幹拠点を置く中京地区は約半分を稼ぎ出す。愛知県や岐阜県も音頭をとりながら20年までに9千億円を目指す。中京地区はボーイングのお膝元の米国シアトルや欧州エアバスの企業城下町であるフランス・トゥールーズに次ぐ第三極形成の旗を掲げる。

中京工業地帯の源流は木曽川の豊富な水量や肥沃な濃尾平野を元にした綿花栽培や織物業にある。明治時代、豊田佐吉氏の自動織機発明で軽工業が発展。戦前は国産戦闘機「ゼロ戦」などを量産し、戦後は米国製軍用機のライセンス生産を請け負い設計や品質管理のノウハウを吸収してきた。

高度経済成長期は三重県四日市市の沿岸を中心とした石油化学コンビナートが重化学工業地帯を形成。トヨタ自動車を頂点とする膨大な下請け企業群で一気に工業力を高めた。製品出荷額で京浜、阪神、北九州をしのぐ日本一の工業地帯だ。

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