カオスから見えてきたジャーナリズムの未来
ブロガー 藤代裕之

(3/4ページ)
2015/2/6 7:00
保存
共有
印刷
その他

■無数のジャーナリストと連携する

予選を通過した5作品が壇上で5分のプレゼンを行い、もう一度参加者による投票で最優秀を決めた。1位は「台風リアルタイム・ウォッチャー」(首都大学東京渡邉英徳研究室)、2位でデータジャーナリズム特別賞は「地図が語る戦没者の足跡」(沖縄タイムス戦後70年取材班)となった。

最優秀のトロフィーを掲げる首都大学東京の渡邉英徳准教授

最優秀のトロフィーを掲げる首都大学東京の渡邉英徳准教授

「台風リアルタイム・ウォッチャー」は、ウェザーニューズの「減災レポート」に投稿された各地の災害情報と気象庁発表の台風情報をグーグル・アース上に表示したもの。台風の進路とそれに伴う被害状況をリアルタイムに確認できる。渡邉准教授は授賞式で「私はジャーナリストではないが、全国の人たちの情報を引き出すのがこれからのジャーナリズムだと思う」と語っていた。減災レポートに投稿する一人ひとりをジャーナリストだと捉え、コラボレーションしたといえる。「誰もがジャーナリスト」時代の象徴的な作品となった。

決戦に残ったNHKネットデータファクトリーの御嶽山「噴火の証言」も、人々の投稿を再構築して、立体的に災害を見せたものだ。同業他社との競争から多くのジャーナリストとの共創へ、がキーとなる。

また、ウェブの表現力もテクノロジーの進化で自由度を増している。デバイスもスマホ、タブレット、タッチパネル、ウェアラブルと様々な進化を遂げている。ウェブのサービスでありながら、触って動く、見せる、といった部分でイノベーションが起きるだろう。

イベントのパネリストを引き受けてくれたコピーライターの境治氏は、「ジャーナリズムなんて、伝えたい! という情熱がないとできないだろうから」とブログに記している。2位の沖縄タイムスは取材した記者が一人でパネルを設置し、説明していた。素朴ながら本質的な問題を問うプレゼンは心を打つものだった。「楽しいイベントだった」という声のなかに「結果に悔しかった」「次回はぜひ、もっと気合を入れて臨みたい」という声が交じることは主催者にとって何よりも嬉しいことだ。伝えたい情熱が新しいジャーナリズムを生む。

(次ページに参加作品の一覧を掲載)

藤代裕之(ふじしろ・ひろゆき)
ジャーナリスト・ブロガー。1973年徳島県生まれ、立教大学21世紀社会デザイン研究科修了。徳島新聞記者などを経て、ネット企業で新サービス立ち上げや研究開発支援を行う。法政大学社会学部准教授。2004年からブログ「ガ島通信」(http://gatonews.hatenablog.com/)を執筆、日本のアルファブロガーの一人として知られる。
  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]