カオスから見えてきたジャーナリズムの未来
ブロガー 藤代裕之

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2015/2/6 7:00
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「シリコンバレーなんか行ってる場合じゃないですね」。あるメディア関係者が話しかけてきた。「デジタルジャーナリズムの記念碑的イベント」――。ソーシャルメディアでも熱い反響が続いた。1月24日にウェブジャーナリズムの優れた作品を決める「ジャーナリズム・イノベーション・アワード」を開催した。大手新聞社から個人ブロガーまで、多彩なジャーナリストたちが集った「カオス」な会場から次世代のジャーナリズムがかいま見えた。

■ウェブにもジャーナリズムがある

ネットを舞台にする著名なジャーナリストも参加していた

ネットを舞台にする著名なジャーナリストも参加していた

2004年からブログを書き始めた筆者は、ソーシャルメディアの登場で「誰もがジャーナリストになる」と考えてきた。ただ、ブログ、ツイッター、フェイスブックなどの利用者は拡大、スマートフォンが登場して、人々は情報発信者となっていったが、「誰もがジャーナリスト」という考えは当初、既存マスメディア、ネットユーザー双方から支持を得られなかった。ウェブ上でジャーナリズム活動するだけでは認識は広がらない。

そこで仲間と2011年1月に作ったのが、今回のイベントを主催した日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)だ。組織や媒体の枠を超え、 ジャーナリストが個として切磋琢磨しあえる場所を作ろうと取り組んできた。発足時に「既存マスメディアからの参加者を半分にする」と宣言したところ、「絶対に無理だ」と言われたことを覚えている。ジャーナリズムは既存マスメディアと同義と考えられていたのだ。

その直後に、東日本大震災が起きソーシャルメディア上には津波や地震に関するニュースが発信され、既存マスメディアも、事件事故や災害が起きればソーシャルメディアをまず確認するようになった。だが、調査報道やアジェンダ・セッティングはまだ既存メディア側にあると考えている人も多い。そして、個人やネットメディア側にもジャーナリズムに関わっているという自覚が乏しい。ページビューを稼げばよいと考える煽りメディアやコピペや著作無視のバイラルメディアの登場もある。

デジタル時代だが、発表はいたってアナログ。参加者はポスターなどを使って説明する

デジタル時代だが、発表はいたってアナログ。参加者はポスターなどを使って説明する

そこで、ウェブに特化したジャーナリズムの賞を作ってみた。新聞には新聞協会賞が、放送や雑誌にも多くの賞がある。キュレーションサイトが広がりを見せているが、「良質なジャーナリズムを」と叫ぶだけでなく、手を動かして、ウェブにも良い取り組みがあることを示す必要があると考えたのだ。

■予選結果に見る大手メディアの課題

アワードのコンセプトは「みんなでつくる、次世代のジャーナリズム」とした、JCEJの活動方針に沿い、組織や媒体を超えて、参加型のイベントにしようと準備を始めた。だが、そう簡単に作品は集まらなかった。「ノミネート」という言葉が使われているが、それはメンバーが手分けして声をかけて出展を促したためだ。年末に公開できたのは3作品に過ぎなかった。

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