2019年1月24日(木)

パナマ拡張・スエズ複線化… 国際航路、大競争時代
編集委員 松尾博文

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2015/2/3 7:00
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 パナマ運河や北極海など、エネルギー資源を運ぶ新たな国際航路の競争が熱を帯びている。輸送日数を短縮する新航路の開拓は輸送費を抑え、新たな資源調達先の確保に道を開く。エネルギーコストの上昇に直面する日本には朗報だが、本格的な活用には課題も少なくない。

■パナマ運河拡張、LNG輸送船が航行可能に

「2016年第1四半期にすべての工事が終わる」。昨年11月、都内で開かれたパナマ運河についてのセミナーで、同国のホルヘ・キハーノ運河庁長官は、拡張工事の完成時期をこう明言した。

「いつ完成するか心配だった」(東京ガス)「政府当局者がはっきり言ってくれてほっとした」(中部電力)。発言を聞いた電力やガス会社の担当者は胸をなで下ろした。

理由はシェールガスだ。電力、ガス会社や商社は16年にも米国で産出するシェールガスを加工してつくる液化天然ガス(LNG)を日本に持ち込む計画だ。米欧に比べ、割高なLNGを買う日本にとって、割安なシェールガスの輸入は硬直的なエネルギーの調達構造に風穴を開ける切り札と期待されている。そのためにはパナマ運河の拡張が不可欠なのだ。

パナマ運河は全長80キロメートル。大西洋と太平洋を結ぶ。米国東海岸とアジアを結ぶ物流の要だが、航行できる船の大きさに限りがある。大きさにほぼ制限がないスエズ運河に対抗するため、07年から拡張工事を進めている。

完成すればコンテナ船は容量で2.6倍、ばら積み船も重量で2倍以上の船が航行できるようになる。さらに拡張の目玉はこれまで通れなかったLNG輸送船が航行できるようになることだ。

■喜望峰回り45日、パナマ経由なら25日に短縮

米東海岸からアフリカ南端の喜望峰を回って日本にLNGを運ぶには45日かかる。パナマ運河を通れば25日ですむ。

LNG船が1年間に日本と米国の間を往復できる回数が増える。燃料費や用船料も喜望峰回りやスエズ運河経由に比べて少なくてすみ、LNGの輸入コストを押し下げる。石油や石炭に比べ温暖化ガスの排出量が少ない天然ガスの利用拡大は環境対策上も重要だ。

海運会社にとっても米国産LNGの輸送は商機だ。商船三井の橋本剛常務は「米国産LNGの輸出には全体で60隻程度の輸送船が必要。そのうち、商船三井が15隻程度をとりたい」と意気込む。

だが、当初、14年の完成を目指していた工事は遅れ、関係者は米国からのLNGの輸出開始に間に合わないのではないかと気をもんでいた。

パナマ運河庁は1月、拡張後の運河の通行料金案も発表した。LNG船については、往復で運河を利用した場合の割引料金を設けるなど、シェール革命がもたらす輸送需要をにらんだ設定になっている。海運関係者は「アジア向けLNGの安定供給に一定の配慮が見られる点は評価できる」と語る。

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