2019年6月25日(火)

「格差は民主主義の脅威」 ピケティ教授、東大生に語る

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2015/2/1 3:30
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■資産の不平等が広げる格差

だが、それ以上に資産の格差が見逃せない。資産保有者トップ10%が国の資産をどれだけ持っているかを計算すると、現在でも欧米では60~70%に達する。1世紀前に比べれば小さいが、それでも不平等は大きい。20世紀は世界大戦や累進課税の影響で資産の不平等は大きな問題には見えなかった。だが、足元で所得の格差は拡大している。

膨大な過去データをもとに作製したグラフを使って講義するピケティ教授(31日午後、東京・本郷)

膨大な過去データをもとに作製したグラフを使って講義するピケティ教授(31日午後、東京・本郷)

私は今後、相続資産がものをいう不平等な社会が復活していくと思う。特に欧州や日本で人口が減り成長が鈍化している。低成長下では、今まで蓄積した富がものをいう社会になるのだ。

フォーブス誌による億万長者のランキングがある。信用できないデータとの指摘もあるが、富の分布について非常に有用な情報を示してくれる。この分析によると、トップ層のお金持ちの資産成長率は物価調整後で6.8%に達する。世界全体での1人当たり平均資産増加率は2.1%で、所得増加率が同1.4%だ。一部の人々の資産が普通の人の4倍前後のスピードで伸びるのは果たして許されるだろうか。

■累進資本課税という解決法

私は格差を是正するために、保有する資産に応じた税金を課すべきだと提言している。高額の純資産(たとえば100万ユーロ以上)を持つ人に、累進的に資産に対し年1~2%の税金を各国共通でかけるべきではないか。このやり方なら富の集中を回避できる。

税金の歴史は驚きだらけだ。米国や英国はもともと、70~90%という突出して高い最高税率を持つ累進課税をしてきた。だが、レーガンやサッチャーが活躍した1980年代に、最高税率を一気に下げた。日本ももともと、最高税率は70%以上あったが、今は米英と似た税率に下がっている。

格差を縮めるにはインフレも効果がある。公的債務を減らす作用も大きい。ただ、私は累進課税が最も文明的な格差是正の手法だと考える。

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