2018年11月21日(水)

「格差は民主主義の脅威」 ピケティ教授、東大生に語る

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2015/2/1 3:30
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 『21世紀の資本』の著者であるパリ経済学校のトマ・ピケティ教授が1月31日、東大で講義し、「不平等、格差の拡大は民主主義を脅威にさらす」と格差問題に警鐘を鳴らした。講義の詳細および東大生との質疑応答は以下の通り。

非常に多くの本を読む日本の方の前で講義ができて光栄だ。まず述べたいのは、私が書いた『21世紀の資本』は多くの研究者の協力で成り立っている。アトキンソンやサエズらと共に各国のデータをまとめた。日本のデータ分析には一橋大の森口千晶教授に協力してもらった。

経済学は社会科学の一つだ。我々の研究をもとに皆さんが違う結論を将来導くことになるのはいっこうにかまわない。『21世紀の資本』はあくまで歴史的な証拠をまとめたものだ。

東大で講義するパリ経済学校のトマ・ピケティ教授(31日午後、東京・本郷)

東大で講義するパリ経済学校のトマ・ピケティ教授(31日午後、東京・本郷)

■グローバル化では格差は説明できない

さて、格差の実際を見てみよう。米国で所得のトップ10%の人々が、その国の所得のどれくらいを得ているかをみてみると、1910~20年代は45~50%だったが、1950年には35%になった。その後、低い時代が続いたが、1980年から上昇し、2000~2010年代には45~50%に再び高まった。

経済学者のクズネッツは20世紀半ばのデータを見て、経済が発展すれば格差は縮まると考えた。だが、我々がさらに長期間のデータを集めて調べると、それは単に大恐慌と2度の世界大戦の結果だった。足元で格差は再び拡大している。楽観できる状況ではない。

なぜ格差が広がったのか。よくグローバル化が指摘される。中国など新興国の台頭で、先進国で働く中間技能者の賃金が下押しされるとの分析だ。だが、国によって格差の動きは違う。米国は非常に大きく、欧州はそこまでではない。日本は米欧の中間に位置する。グローバル化では説明できない。

米国の格差が大きい一つの理由は教育だろう。学費が高く、中低所得層は良い大学には行けない。ハーバード大の学生の親の平均年収は米国の所得階層のトップ2%だ。建前では米国社会は流動性が高いといわれるが、実際はそうではない。

一流企業のトップマネジャーの問題もあろう。マネジャー層が高い報酬をもらえるよう企業統治をゆがめてしまった上、レーガン大統領以降、所得税の最高税率も引き下げられた。

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