2019年2月19日(火)

ヤモリに学び、ガをまねる 未来型モノ作りの胎動

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2015/1/30付
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眠っていても目的地に着く自動運転車、ヒトが念じれば動く機械――。遠い将来の話ではない。世界に誇る新幹線が開業した1964年、東京五輪が開かれた。2度目の東京五輪を迎える2020年を次のターゲットとする研究者は多い。その頃世の中を変える最先端技術の数々を「技術100選」として、企業や大学の開発現場を追う。

■ヒントはヤモリの足の裏にあり

「吸盤のように壁や天井に貼り付き、痕跡を残さずに歩き回る」。映画や漫画の話ではない。

日東電工の前野洋平主任研究員らが開発している新しい原理の粘着テープを通じて、そんなロボットの未来が見える。

このテープ、接着剤なしでツルツルのガラスに貼り付く。1センチメートル四方のテープ片があれば4.6キログラムの重さに耐えられる。強力なのに、端をつまめば簡単にはがせる。

重力に逆らい壁や天井に貼り付く、そんな生き物に心当たりはないだろうか。答えは爬虫(はちゅう)類のヤモリだ。

ヤモリの足の裏には直径数百ナノ(ナノは10億分の1)メートルのたんぱく質の毛がびっしり生えている。粘液も出さないのにどこでも歩く。その姿、かわいい? 気味悪い? 研究者はそこに機能の美しさを感じてきた。

ヤモリだけではない。ガの目の細かい凹凸は光の反射を抑え、天敵から見つかりにくい。ぐるぐる巻いたカタツムリの殻は薄い水の膜に覆われ、いつまでも艶っぽい。

生存競争を勝ち抜いてきた生き物の構造や機能を人間の生活に生かす「生物模倣」。バイオミメティクスとも呼ぶ技術は今、科学の最前線にあって、ものづくりに革命をもたらす力を持つ。

鳥のカワセミは餌の魚を捕らえるため、くちばしが水の抵抗を受けにくい。流線形は空気抵抗を減らしたい新幹線の先頭車両の手本になった。

そして今、生物模倣の技術にナノテクノロジー(超微細技術)の進歩という要素が加わった。

ヤモリテープが05年に開発された頃は樹脂製で、耐熱性や粘着力が足りなかった。研究者たちは、大阪大学が研究していた先端素材「カーボンナノチューブ(筒状炭素分子)」の硬く耐熱性が高い性質がテープにふさわしいと突き止め、06年に共同開発を始めた。

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