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丸ごとレビュー 次期ウィンドウズ、新旧融合で「スタート」便利に

ウィンドウズ10最新版公開(上)

フリーライター 竹内 亮介

米マイクロソフトは現地時間の1月21日、同社の新基本ソフト(OS)「ウィンドウズ10」に関する報道関係者向けの説明会「Windows 10:The next chapter」を開催した。この説明会で、ウィンドウズ7以降のユーザーなら、ウィンドウズ10には無償でアップデートできると発表した。

またこの説明会後の23日(現地時間)、一部の新機能を先取りして試せる最新の「ウィンドウズ10 テクニカルプレビュー」(TP)を公開している。このウィンドウズ10 TPを基に、2回に分けてマイクロソフトがウィンドウズをどう変えていこうとしているのかを検証した。

日本語版が追加され、より使いやすくなった最新のウィンドウズ10 TP

7からのアップグレードは無料、日本語版も登場

説明会では、発売時期も含めてウィンドウズ10に関するいくつかの重要な発表が行われた。発売時期は、2015年後半だという。メーカーパソコンであれば、15年秋冬モデルに搭載されることが予想される。またウィンドウズ7/8/8.1アップグレードのユーザーであれば、ウィンドウズ10の発売後、1年間は無償でアップデートできる。


マイクロソフトのブログでも今回の発表内容を詳細に解説している

さらに今後は、大きな機能拡張であっても「ウィンドウズ10のアップデート」という形で提供される。今までのOSのような「サポート期間の期限切れ」もなくなるもようだ。こうした発表を踏まえると、従来型のOSのアップデートは、今回のウィンドウズ10で終了するという可能性がある。

あくまで見通しであり、具体的にマイクロソフトがどういう形でアップデートを提供していくのかは、まだ分からない。しかし新機能を追加したり、サポート切れOSを利用する危険性を回避したりするため、一定期間ごとに面倒な再インストールを行わなくてもいいということなら、ユーザーにとってウィンドウズ10への移行のメリットは非常に大きい。

ビルド9926でOSの内部バージョンを確認した画面

今回配布されたのは、「ビルド9926」というバージョンだ。「ビルド」とは開発時の整理番号のようなもので、開発が進めば進むほど番号が増える。14年10月に初めて公開されたのは「ビルド9841」であり、着実に開発が進んでいることが分かる。また今回のビルド9926では日本語版も含めて23カ国語版を用意しており、英語が苦手なユーザーも利用しやすくなった。今回の試用では、主に日本語版を利用した。

なおウィンドウズ10 TPは、IT(情報技術)に詳しいユーザーが新OSの機能を試し、不具合を報告するために配布されるものだ。一般ユーザーが、普段使っているパソコンにインストールし、日常的な作業を行うために利用するOSではない。トラブルが発生しても当然保証は受けられないので、試したいなら余った古いノートパソコンなどを使うとよいだろう。

インストール作業自体は7や8とほとんど同じで、「コア i7-4770K」など比較的新しいパーツで構成された自作パソコンや、ソニーの「VAIO Duo 11」、基本性能がやや低い台湾エイスースの「トランスブック T100TA」にもインストールは可能で、動作状況も良好だった。

CPUにアトム Z3740を搭載するトランスブック T100TAでも、ウィンドウズ10 TPは問題なく動作した

スタートメニューとスタート画面が合体

ウィンドウズ10 TPを起動するとまず表示されるのは、デスクトップだ。タスクバーの左端にある「スタートボタン」をクリックすると、ウィンドウズ7のようなスタートメニューを表示する。スタートメニューやタスクバーに登録されたアプリを起動すると、ウィンドウ状態でデスクトップに表示する。こうした挙動は、7に非常に近い。

フルスクリーンで利用するアプリランチャー「スタート画面」や、タッチで操作するタブレット向けに、インターフェースを大幅に変更した新しいアプリ群「ウィンドウズストアアプリ」を前面に押し出した8以降から、大きく変わる点の一つである。

アプリは基本的にすべてデスクトップに表示する。アプリの起動はスタートメニューから行う

ウィンドウズ10では7と同様、デスクトップにすべてのアプリを表示する。また操作の起点にスタートメニューを置く、というスタンスは前回のビルド9841から変わっていない。ウィンドウズ10の基本方針と言ってよい。そのため7までの操作に慣れたユーザーであれば、違和感なく移行できるだろう。

ただ、スタートメニューの右側には8から導入したスタート画面の機能が取り込まれている。ここにはアプリを起動するための大きめなアイコン「タイル」が並んでおり、タイルをクリックすることでもアプリが起動できる。よく使うアプリのタイルをユーザーが登録することもできる。

電源ボタンをクリックすると、スリープやシャットダウン、再起動を行うためのボタンを表示する

スタート画面には、ボタンが大きくて操作がしやすく、アプリを起動しなくても最新情報をタイル上に表示できるというメリットがあった。強制的に全画面表示に切り替わることに拒否反応が強かったために、全画面での表示は取りやめになったが、こうした便利な機能はそのまま残している。

なお、スタートメニューの右上にある最大化ボタンをクリックすると、8のスタート画面のようにフルスクリーン表示に切り替わる。液晶画面が小さく、キーボードを装備しない8型タブレットなどではこうした表示の方が使いやすいだろう。7までのユーザーが慣れていたインターフェース、そして8でタブレットに最適化して便利になった部分をうまく融合している。

最大化ボタンをクリックすると、スタートメニューがフルスクリーンで表示される

呼びかけると起動する音声入力対応アシスタント

音声による簡易操作機能「コルタナ」と、ユーザーやシステムが行った各種操作の結果を通知してくれる「通知」機能も、今回のウィンドウズ10 TPで試せるようになった新機能である。コルタナ自体は、マイクロソフトのスマートフォン用OS「ウィンドウズフォン8.1」で実装済みであり、ウィンドウズ10でパソコンにもこの機能を取り込んだという形だ。

コルタナという名前は、マイクロソフトの人気ゲームソフト「ヘイロー」で、プレーヤーのアシスタントをつとめる人工頭脳の名前から来ている。ゲーム上ではゲームの基本操作をレクチャーしたり、攻略に必要な情報を適宜提供してくれたりする。

「ヘイ!コルタナ」と呼びかけると、タスクバーの検索ボックスが音声入力ダイアログに切り替わる

タスクバーの検索ボックスにあるマイクボタンをクリックするか、マイクに向かって「ヘイ!コルタナ」と呼びかけると、音声認識用のダイアログが表示される。後者はなかなか未来感のあるギミックだ。ただヘイローやウィンドウズフォン8.1とは違い、ウィンドウズ10 TPのコルタナはまだ開発段階だ。マイクで拾った声をテキストに変換し、ウェブ検索が行えるだけだった。

将来的には、ローカルドライブのファイル検索、一般的な質問に対する回答など、音声のやりとりのみでさまざまな操作ができるようになるという。認識にかかる時間は2秒程度と短く、製品版ではなかなか便利に使えそうな機能だ。

「Microsoft」と話しかけると、Microsoftに関するウェブ検索を行った。コルタナはまだ英語版でしかサポートされない

通知欄機能では、自分が過去にどんな作業をしたのか、システムがどんな操作をして、どんな結果になったのかということが一覧で確認できる。アプリを起動しなくても状況を判断できるし、万が一システムトラブルが起きた場合には、原因を突き止める際の手がかりにもなる。

またこの通知欄の下部には、設定関係の機能を呼び出すボタンを用意している。従来は「チャームバー」と呼ぶ共通メニューから呼び出していた重要な設定機能のうち、特によく使うものをピックアップしている。

通知欄には、ユーザーやシステムが行ったさまざまな操作の履歴が表示される。日本語版でも利用できるが、表示される内容は英語版の方が充実していた

特に右端にある「All Settings」は、パソコンの全体的な設定を行う「設定」アプリを呼び出せる重要なボタンだ。7までで言えばコントロールパネルにあたる。ウィンドウズ10 TPでは、ユーザーアカウントの設定や、ウィンドウズアップデートは、この設定アプリからしか行えない。

8以降でも同じような「PC設定」というアプリがあったが、チャームバーから何回かボタンをクリックしなければ呼び出せなかった。ウィンドウズ10 TPでは、こうした面倒な作業をすることなく設定作業が行えるようになった。

7と8を融合し、新しいユーザーインターフェースを構築

「All Settings」をクリックすると、各種設定で利用する「設定」アプリが起動する

今回は、8以降から大きく変わった部分を取り上げて解説した。ウィンドウズ10ではユーザーインターフェースを7に近づけて、8になじめなかったユーザーをしっかりとフォローするように作られていることが分かる。ただしそれだけではなく、8の便利な機能もさりげなく取り込むことで、両方のユーザーがスムーズに移行できるようにしているように感じた。

次回は最新のビルド9926で加わったタブレット上で使いやすくする「タブレットモード」の機能や、標準アプリの変化を紹介していこう。どちらも、最近増えてきた小型タブレットを強く意識して操作方法が調整されており、直感的に利用できるようになっている。

竹内亮介(たけうち・りょうすけ)
 1970年栃木県生まれ、茨城大学卒。毎日コミュニケーションズ、日経ホーム出版社、日経BP社などを経てフリーランスライターとして独立。モバイルノートパソコン、情報機器、デジタル家電を中心にIT製品・サービスを幅広く取材し、専門誌などに執筆している。

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