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時間切れ続出! 1手10秒の超早碁にプロも困惑

第1回「「Over40早碁トーナメント」リポート

 日本棋院で新たに始まった40歳以上のプロ棋戦「Over40早碁トーナメント」が25日、趙善津九段(44)の優勝で第1回大会の幕を閉じた。七大タイトル経験者ら54人が参加。趙九段は「大変だったが勝ててよかった」と振り返る。この棋戦が特に「大変」だったのは、昨年12月中旬に開かれた予選だったかもしれない。

1手10秒。棋士が「あーっ」「わからない」と悲鳴を上げながら、碁盤に石を振り下ろしていく。難しい局面で最善手を読み切れず、逆転につぐ逆転が繰り広げられた。

Over40早碁トーナメントは決勝も対局時計が使われ、趙善津九段(左)が優勝した(1月25日、日本棋院)

予選全50局は1日で消化。ひとつの対局は30分~1時間と短いものの、本戦出場の4枠に入るには3~4局を勝ち抜かないといけない。まさに体力勝負となった。

本戦に進んだ三村智保九段(45)は「じっくり手を読んでいる時間がなく、思い切って打っていった」。加藤充志九段(40)も「超早碁でスリリングだった」と口をそろえた。

予選の持ち時間は1手10秒だが、1局で3回まで10秒を超えて、もう1分考えられる「考慮時間」がある。時間を見張るのは機械式の対局時計。ふだん、重鎮の対局では記録係が残り時間を知らせるが、今回は時間をはかるのも棋士自身だ。石を打ったあとに自分で時計のボタンを押すと、対局相手の消費時間のカウントに切り替わる。時計を押し間違えないように練習して臨んだ棋士もいたという。

やはり時間切れは多く、予選50局のうち8局に及んだ。10秒ぎりぎりで対局時計のボタンを押したつもりが実は10秒を超えていた着手があり、すでに3回の考慮時間を消化したことに気付かずに考慮時間を使おうとしたという勘違いが多かったようだ。2014年の記録をみると全棋戦では時間切れ出現率が0.4%だった。今回の予選では16%で、圧倒的に多かったといえる。

一方で、接戦の証しともいうべき最小差の「半目勝負」は、今回の予選では2局。この出現率は全棋戦でみた比率とほぼ一緒だったのは興味深い。

25日の本戦の持ち時間は、1手30秒で1分の考慮時間が10回だった。これはファン向けに日本棋院で開いた大盤解説会に配慮したものだ。「1手10秒だと(着手が早すぎて)リアルタイムで解説できない。打った手を記録するだけでも難しいほど」(日本棋院常務理事の中小野田智己九段)

50歳以上の七大タイトル経験者らが出場するマスターズ杯が2011年に始まり、シニア棋戦には一定の人気があるとわかった。今回のOver40も、個性的で特色ある棋戦を増やして囲碁ファンに楽しんでもらおうと企画されたものだ。

1手10秒の超早碁は研究会などで打たれるほか、過去には若手棋戦で採用されていたこともある。対局がスリリングで面白い展開になりやすいだけに、実況中継など観戦するファンが楽しめる工夫があれば、これから注目を集めるかもしれない。

(文化部 山川公生)

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