2019年7月17日(水)

華やかな芸術 アイスショーも奥深い
プロスケーター 太田由希奈

(2/3ページ)
2015/1/28 7:00
保存
共有
印刷
その他

もちろん、試合のときのようなピーンと張り詰めた緊張感とは無縁で、出演者たちもリラックスムードで表情も自然となごむ。みんなで一緒に食事に行ったり、今度はこうしようと話し合ったり。出演者だけでなく、ディレクターや照明の方、裏方のスタッフの方を含めてみんなで一緒にこの舞台を成功させようという一体感がある。

得点にとらわれない演技構成

プログラムにしても、競技だとどうしてもこのジャンプやスピンは何点の加点になるかといったことを考えながら演技構成を考える。たとえば体をそらすレイバックスピンをするときにしても、ただ反って回るだけでなく、体幹をひねって、足を頭に近づけ、最後はビールマンスピンのポジションにしないとなかなか高いレベルの得点は取れないので本当にせわしない。

トリノ五輪で金メダルに輝いた荒川静香さんが演技に組み込んだことで有名になったイナバウアーも、それ自体では点数がつかないから(出来栄え点であるGEOでは多少の加点があるかもしれないが)、もっとほかの加点がつくような要素を演じようということになる。

だが、ショーの場合はこうした縛りがないので、本当に美しいな、すてきだなと思う演技を中心に演技構成を組み立てられる。たとえば、複雑なスピンよりもシンプルなスピンの方がすてきに演じられる選手がいたとすると、その得意なシンプルなスピンをじっくりと観客の方々に見せることができる。

エキシビションとの違い、物語性

大会の後に開かれるエキシビションとの違いを挙げるとすれば、ストーリー性ということだろう。エキシビションは選手たちがそれぞれプログラムを持ち寄って演じるので、どうしてもプログラム全体の統一性というものは感じにくい。だが、ショーの場合はなんらかのテーマに沿って演じられることが多い。私が出演した2013年のプリンスアイスワールドでは、ショーの一部がビィクトル・ユーゴーの有名な小説である「レ・ミゼラブル」をテーマにしていた。

著名な音楽家のコラボといったこともある。昨シーズン、チェコで開かれたショーに出演したが、リンク上に舞台が作られ、そこで欧州で人気のあるチェリストのデュオ「2CELLOS」が演奏。フィギュアスケートのファンにも、音楽ファンにも楽しめるプログラムになっていた。日本でもバイオリニストの古沢巌さんとのコラボが行われるなどしている。アイスショーは「アートな世界」をより楽しめる。それが、競技とはひと味違った魅力なのだと思う。

  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

フィギュアスケートのコラム

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。