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人工知能「2045年問題」 コンピューターは人間超えるか

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2015/1/29 7:00
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ITpro

 1950年以来、コンピューターで史上初の合格者――。英『THE INDEPENDENT』誌が2014年6月7日に発表した、英レイティング大学が実施した「チューリングテスト(英国の数学者アラン・チューリングが提唱したコンピューターに知性があるかないかを判定するテスト)」に関する結果が、コンピューター科学者のみならず世間の大きな関心を呼んだ。

図1 Eugene(出典:『THE INDEPENDENT』のWebサイト 、http://www.independent.co.uk/ )

図1 Eugene(出典:『THE INDEPENDENT』のWebサイト 、http://www.independent.co.uk/ )

 合格したのは、「Eugene(ユージーン)」という名前が付けられたウクライナ製のコンピューターで、13歳の少年として振る舞った(図1)。Eugeneは、会話のテーマや質問に制限を課していない状況の中で5分間のチャット試験を受け、30%以上の判定者から「人間かコンピューターか、判別できない」という評価を得て合格した。

 チューリングテストについては、コンピューター科学者と哲学者との間に見解の相違がある。哲学者のジョン・サール氏は、チューリングテストに合格したからといってコンピューターが会話の意味を理解しているのではなく、ルール通りに回答しているだけとして「コンピューターに知性があるわけではない」と批判した。

 こうした議論がある一方で、人間の脳のメカニズムをコンピューター上で再現する「ニューラル・ネットワーク(人工知能)」は、コンピューター技術の指数関数的な進化に影響を受けて、さらなる飛躍を遂げている。

■2045年が「特異点」?

 今回のチューリングテストの結果が想起させるのは、シンギュラリティ(Singularity)、つまり「特異点」という言葉である。これを数学的な見地から言えば、なんらかの変数が無限大になるという概念であり、例えば分数の分母がゼロに近づくにつれてその解が無限大に近づくような事象を指す(図2)。

図2 数学における特異点(出典:Kurzweil, Ray (2005). The Singularity is Near. New York: Viking Books.)

図2 数学における特異点(出典:Kurzweil, Ray (2005). The Singularity is Near. New York: Viking Books.)

 本記事におけるシンギュラリティとは、コンピュータ・テクノロジーが指数関数的に進化を遂げ続けた結果、2045年頃にその未来を人間が予測できなくなるとする仮説のことである。

 人工知能が自らを規定しているプログラムを自身で改良するようになると、永続的に指数関数的な進化を遂げる。この結果、ある時点で人間の知能を超えて、それ以降の発明などはすべて人間ではなく人工知能が担うようになる。つまり、人工知能が人間の最後の発明になるという、仮説である。

 このシンギュラリティについて、米国のコンピューター研究者であるレイ・カーツワイル氏は、著書『The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology』中で、2045年にその特異点を迎えると予言している。

 今から30年後に、そうした世界が本当に来るのか――。疑念を抱くのは著者だけではないだろう。

 それでも予言の提唱者は、音声認識技術(iPhoneで使われるSiriの基礎技術)などで先駆的な業績を残し、1999年には「アメリカ国家技術章」を受章。さらに現在は、米Google(グーグル)という最先端の環境で人工知能の研究を進めているカーツワイル氏であることから、一定の説得力を持つと言えるだろう。

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