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豊島逸夫の金のつぶやき

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円116円台突入、揺らぐ市場の大前提

2015/1/14 17:20
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「原油1バレル40ドル、円相場は1ドル=115円の現実味」(本欄1月7日付)が増してきた。原油安に触発され、円高が加速している。

きっかけは、ギリシャ不安再燃、ロシア経済懸念、そして株安。これら複合要因が逃避通貨としての円買いを誘発した。ただ、それだけであれば一過性と考えられる。

しかし、円高が加速したのは、原油急落により「2015年の米利上げ=ドル高」というこれまでの市場の大前提が揺らぎ始めたためだ。米利上げ問題は、15年の世界経済見通しと運用方針のベースシナリオの根幹にかかわる問題だ。

俯瞰(ふかん)すれば、2014年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、イエレン議長は原油急落の影響を聞かれて「一時的」との認識を繰り返し述べた。その時点の原油価格は1バレル54ドル。それが、13日は一時44ドルまで下がり、40ドル割れも視野に入ってきた。石油輸出国機構(OPEC)側からは「20ドルまで我慢比べを続ける」とのコメントが流れる。これでもイエレン議長は「一時的」と一蹴するのだろうか。

民間の市場関係者の間では「原油安の長期化見通し」が大勢を占める。官と民で、認識に大きな差がある。果たして、どちらに収れんするのか。

ここは、民に分がありそうだ。この次にイエレン議長の見解を聞くには、3月18日に開かれるFOMC後の記者会見まで待たなければならない。それまでは、地区連銀総裁の講演が注目されるだろうが、15年のFOMC投票メンバーは、利上げに慎重なハト派が多い。新たに投票メンバーに加わったハト派のエバンズ・シカゴ連銀総裁は、すでに「FRB(米連邦準備理事会)のインフレ目標達成には3~4年かかる」と明言している。

想定を超える原油急落が「2015年の米利上げ」という市場のコンセンサスをも、ゆるがしているのだ。次第に「年後半に後ずれ」「2016年に持ち越し」との見通しも浮上してきている。

日本の5年物国債利回りが13日、0%に低下したことも、欧米の外国為替市場で話題になった。これまでは、5年債がマイナス金利になるまで日銀が国債を買い進めると、財政赤字を国債買い取りで賄う「財政ファイナンス」懸念を生み、「日本売り」のきっかけになる可能性が指摘されてきた。しかし、いまや日本国債が安全資産とされ、マネーが流入している。

「まさか日本国債買いでもうかるとは思わなかったよ」

元同僚のヘッジファンドのマネジャーが、苦笑まじりに語った。ヘッジファンドは、これまで日本国債売りを仕掛けては、日本人投資家の長期保有の岩盤に屈してきた。それゆえ、日本国債売りは、ウイドー(寡婦)メーカーなどと呼ばれた。

その彼らが、いまでは日本国債買いに回っている。市場の潮目が変わりつつあると感じる。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表。11年9月末までワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表を務めた。
1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験をもとに金の第一人者として素人にも分かりやすく、独立系の立場からポジショントーク無しで、金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。
ブログは「豊島逸夫の手帖」http://www.mmc.co.jp/gold/market/toshima_t/index.html
ツイッター(http://mobile.twitter.com/search?q=jefftoshima)ではリアルタイムのマーケット情報に加えスキー、食べ物など趣味の呟きも。日経マネーでは「現場発国際経済の見方」を連載中。日本経済新聞出版社や日経BP社から著書出版。業務窓口は jefftoshima@hyper.ocn.ne.jp

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