2019年1月17日(木)

牛の排せつ物から電力と熱 「循環型農業」への挑戦

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2015/1/14 7:00
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日経BPクリーンテック研究所

北海道の十勝地方では、環境に配慮した循環型農業の確立を目指し、現在11カ所でバイオガスプラントが稼働している。そのうちの一つ、鹿追町にある環境保全センターを訪れた。

同センターは、2007年にバイオガスプラントを稼働。その他、堆肥化プラント、コンポスト化プラントがあり、家畜の糞尿だけでなく、生ごみや排水汚泥を処理している(図1)。

図1 鹿追町環境保全センターは循環型農業を目指す(出典:鹿追町)

図1 鹿追町環境保全センターは循環型農業を目指す(出典:鹿追町)

■悪臭対策がきっかけ

鹿追町の人口は約6000人。農業産出額は約175億円で、乳牛が1万9000頭、肉牛が1万頭いる。鹿追町役場から東へ約3kmに位置する鹿追町環境保全センターは、敷地面積が約5万m2(平方メートル)で、約17億4500万円をかけて建設された。

処理能力は家畜糞尿約134トン/日、生ごみ2トン/日、浄化槽汚泥1.57トン/日である。市街地周辺で悪臭に対する苦情が多く寄せられたのをきっかけに建設が始まった。

図2 糞尿を乗せたトラックごと重量を測定(撮影:日経BPクリーンテック研究所)

図2 糞尿を乗せたトラックごと重量を測定(撮影:日経BPクリーンテック研究所)

環境保全センターの主要施設であるバイオガスプラントは、酪農家から運ばれてきた牛の糞尿を嫌気性発酵(メタン発酵)させてバイオガスを発生させている。糞尿の処理能力は94.8トン/日で、これは成牛約1320頭分に相当する(図2)。

発生したバイオガスの利用方法は三通りある。一つは、コージェネレーション(コジェネ)発電機を動かして、電気と熱エネルギーを発生させる方法。電気はプラント内で消費し、残りは電力会社に売る。FIT(固定価格買取制度)制度があるので、売電価格は39円/kWhと高く、センターの採算性向上に寄与している。

二番目の利用方法は、ボイラーを稼働して熱エネルギーを得ること。コジェネからの熱エネルギーと一緒にして、凍結対策や消化液の殺菌などに利用する。三番目は、都市ガスやバイオガス自動車の燃料に利用する方法である。バイオガスを発生させた後の糞尿は、消化液として圃場(ほじょう)の肥料として使用する。

■設計からランニングコストの抑制に配慮

バイオガスプラントの設計では、以下の3点を重視した。第1は、異物混入によるポンプや管路の詰まりを極力減らした点。具体的には、入口にあたる原料槽から出口の貯留槽までのすべての管路を2系統にして、どちらかが詰まっても流れが止まらないようにした。また、農家への指導を十分に行い、異物の混入を極力減らしたという。

第2に、冬期の凍結対策を施した点。原料槽内に温水管を配管して凍結を防ぎ、発酵槽の断熱を強化した。第3は、ランニングコストの抑制である。設計段階から、プラント全体でランニングコストを抑制できるように工夫した。

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