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沈砂池が設計ミスで強度不足 長崎県の農業基盤整備

2014/12/24付
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日経コンストラクション

 会計検査院は2013年度の「決算検査報告」で、長崎県が農業基盤整備事業で築造した沈砂池の設計ミスを指摘。沈砂池内部に設けた排水設備が強度不足であり、排水設備が損壊した場合は沈砂池そのものが機能を果たせなくなる恐れがあるとした。

 そのうえで、沈砂池の整備に掛かった工費約484万円のうち、補助金に相当する約266万円を不当とした。

 この事業は、同県が2012年度に農林水産省の国庫補助金を受けて、同県島原市宇土山地区で実施したもの。農機の効率的な運用や農作物の品質・収穫量の向上を図るため、区画整理工事や排水路工事、沈砂池などの築造工事を行った。

 設計ミスが判明した沈砂池は、排水路の途中に石積みブロックで築造した。降雨時などに農地から流出した土砂を一時的に堆積させ、排水路下流に土砂が流れ出るのを防ぐ役割を果たす構造物だ。沈砂池の内側に、堆積した土砂をせき止めて水だけを流す「排水ボックス」を設置した。排水ボックスは無筋コンクリート製で、寸法は幅1.8m、長さ2m、高さ1.8m。

 長崎県は沈砂池の設計を外部の設計者(以下、設計者)に委託。設計者は、農林水産省構造改善局が監修した「土地改良事業標準設計農地造成(解説書)」(以下、解説書)などに基づき、次のように設計した。

 沈砂池の容量は、準拠した解説書などの指示に従って、当該農地の土砂流失量を算出して決定。排水ボックスの設計では、沈砂池内に堆積する土砂の高さを考慮して側壁の高さを決めた。排水ボックスの構造については、解説書などに標準的な設計方法の指示はなかったので、排水路の集水升と同様の小規模構造物として想定。県は集水升の構造について、無筋コンクリート製を標準仕様にしており、設計者は排水ボックスの構造をこれにならって設計した。応力計算も行わなかった。成果品を受け取った県は、これらの設計に基づいて施工した。

 ところが会計検査院の実地検査では、問題の排水ボックスは設計上、応力計算が必要だったことが明らかになった。沈砂池内の土砂が排水ボックスの側壁天端まで堆積することになっており、側壁の強度設計に土圧を考慮するのが必須の状況だったからだ。

 検査院は、土圧を考慮したうえで改めて応力計算を実施。側壁に生じる引張応力度は0.38N/mm2(平方ミリメートル)で、無筋コンクリートの許容引張応力度の0.29N/mm2を大幅に上回っていた。すなわち、応力計算上、安全とは言えない状況になっていた。

 この検査結果から会計検査院は、問題の排水ボックスは設計上の誤りがあり、所定の安全度を確保できていないと断定。排水ボックスが損壊して土砂が排水路下流に流出すれば、排水路が詰まったり、沈砂池が本来の機能を発揮できなくなったりする恐れもあるとし、工事の目的を果たしていないと結論付けた。

 さらに、県は排水ボックスの設計に対する理解が浅く、設計者が納めた成果品の誤りを検査でチェックできなかったことがこうした事態を招いたと指摘した。

(フリーライター 奥野慶四郎)

[ケンプラッツ 2014年12月24日掲載]


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