2018年9月21日(金)

Apple Watchの強敵か ウエアラブル、MSの逆襲
宮本和明 米ベンチャークレフ

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2015/1/19 7:00
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 Microsoft Healthは、一番人気のGPSフィットネスアプリ「RunKeeper」と連携する。Microsoft Bandで収集した情報は、Microsoft Healthを経由して、RunKeeperアプリに格納される(下の写真)。

出典: Microsoft/VentureClef

出典: Microsoft/VentureClef

■本当の狙いはビッグデータ解析

 Microsoftにとってはウエアラブル端末の開発が最終目的ではなく、ウエアラブル端末が収集するデータの解析を事業の中心に据える考えだ。Microsoft Healthは、解析エンジン「Intelligence Engine」を備えており、これを使ってビッグデータを解析することで、健康管理に関する知見を得る。

 具体的にIntelligence Engineは、カロリー消費量が最大になるエクササイズを見つけ出し、効果的なトレーニングの手助けを行う。Microsoft Bandは睡眠の質を計測し、よく寝れなかった日は解析エンジンがその理由を見つけてくれる。

 同時に、日常生活に潜んでいる“因果関係”を明らかにする。「会社で会議が多い日は睡眠時間が長くなるのか、短くなるのか」「朝食を食べた日はランニングで速く走れるのか、遅くなるのか」、などをデータから見つけ出す。Microsoft Bandが収集する膨大なデータを解析する技術こそがMicrosoftの強みで、これがウエアラブル事業の中核となる。

■オープンなプラットフォーム

 Microsoft HealthはMicrosoft Bandだけでなく、他社のウエアラブル端末が収集する健康管理データも一元管理する。Microsoftは米Jawboneと開発を進めており、今後は、 Android Wearスマートウィッチ、Androidスマホ、iPhone 6が搭載する「M8コプロセッサー」をサポートするとしている。

出典: Microsoft

出典: Microsoft

 さらに、Microsoftはセンサーモジュール(上の写真)をライセンスし、パートナー企業のウエアラブル製品開発を支援していく。MicrosoftはMicrosoft Bandを参照モデルと位置づけ、自社製品ではなくパートナー企業の端末販売支援を事業の中心に据える。

 Microsoftの狙いは健康管理プラットフォームの提供で、クラウドサービスやデータ解析が事業の中心となる。これはGoogleの Androidモデルと似ており、IT(情報技術)企業のウエアラブル事業におけるビジネスモデルの方向性を示している。

■スマートウォッチからリストバンドに

 実はMicrosoftのウエアラブル事業はこれが最初ではなく、2002年11月にスマートウォッチを発表している (下の写真)。スマートアプライアンス技術「SPOT」を腕時計に組み込む方式で、設計・開発は時計メーカーが担当した。Fossil、Suunto、Tissot、Swatchなどがスマートウォッチを出荷した。

出典: Smart Watch News

出典: Smart Watch News

 スマートウォッチで正確な時間を表示するほか、渋滞情報、予定表、ニュースなどを見ることができた。通信にはラジオで使うFM電波を利用。野心的な製品であったが需要は限定的で、2011年に販売を中止した。

 Microsoftは今回、スマートウォッチではなく、あえてリストバンドの形状を選択。さらに、健康管理に特化した。一般にスマートウォッチはスマホのサブ画面という位置づけの製品が多く、便利ではあるが、なくても困らない。

 しかし、Microsoft Bandではウエアラブル端末にしかできない機能が中心となる。その一例が身体データの収集で、Microsoft Bandは健康管理センサーとしての役割を担っている。

■スマートウォッチはもう不要

 Microsoftはリストバンド着装法について、下の写真の通り、内側に向けることを推奨している。実際に使ってみると分かるが、外側に着装すると、ディスプレーを縦方向で見ることになり、文字を読みにくい。これに対して、内側だと横方向で読みやすい。

 ただ、読みやすさ以上に見た目も重要な要素。筆者は現在、外側に着装しているが、今後どうするか思案中である。

出典: Microsoft

出典: Microsoft

 実は、以前購入したスマートウォッチは、結局使わなくなりクローゼットの中でホコリをかぶっている。一方、Microsoft Bandは毎日活躍中で、健康管理に不可欠な存在になってきた。「リストバンドがあればスマートウォッチは要らない」、とも思えるようになってきた。

 ブランド、デザイン、機能の面から米Apple(アップル)が2015年に投入を予定している「Apple Watch」は別格としても、それ以外のスマートウォッチは、将来的にリストバンドに飲み込まれていくのかもしれない。

宮本和明(みやもと・かずあき)
米ベンチャークレフ代表 1955年広島県生まれ。1985年、富士通より米国アムダールに赴任。北米でのスーパーコンピューター事業を推進。2003年、シリコンバレーでベンチャークレフを設立。ベンチャー企業を中心とする、ソフトウエア先端技術の研究を行う。20年に及ぶシリコンバレーでのキャリアを背景に、ブログ「Emerging Technology Review」で技術トレンドをレポートしている。

[ITpro 2014年11月21日付の記事を基に再構成]

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