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ポテチ袋がおしゃれ文具に ゴミ再生VB日本上陸

 世界26カ国でゴミのリサイクル事業を手がける米ベンチャー企業、テラサイクル(ニュージャージー州)が日本に本格進出した。大企業のビジネスと上手に組み合わせ、ゴミを「オシャレな商品」として再利用する手法が注目され、提携企業数は世界100社超にのぼる。社是は利益を売上高の「1%」にとどめること。究極のゴミベンチャーは独創性にあふれている。

仏ロレアルや米P&G 提携先はビッグネームばかり

お菓子などのパッケージからつくるバッグやメモ帳はデザインも人気

1日、日本ロレアルがテラサイクルと組み「キールズ」と「メイベリン ニューヨーク」の2つのブランドの販売店舗で、化粧品容器の回収を始めた。キールズではスキンケア、メイベリンではマスカラや口紅などメーキャップ用品を受け付ける。競合他社の製品も対象だ。消費者は試供品や、寄付金として使えるポイントなどをもらえる。初年度に10万個の回収を見込んでいる。

環境省によると、日本のゴミ排出量は2012年度で年間約4500万トン。約8割はリサイクルできず、処分している。処分される運命のゴミを活用するのがテラサイクルの役割だ。ロレアルの場合は公園や店舗に置くベンチに変身させる。

世界最大の化粧品会社である仏ロレアルグループがテラサイクルと組むのは日本が4カ国目。関連コストは非公表だが、すべてロレアル側が負担する。環境意識の高い欧州系グローバル企業の取り組みと言えばそれまでだが、日本ロレアルのクラウス・ファスベンダー社長は「消費者との接点が増えるチャンスになる」と解説する。競合製品の愛用者ならなおさらだ。既存顧客も来店の頻度が上がる相乗効果が確認されたという。

テラサイクルの提携先は日用品大手の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や食品大手の米クラフト・フーズなど、ビッグネームばかりが連なる。日本では米系たばこ大手のサンタフェナチュラルタバコジャパン(東京・港)が第1号で、4月から吸い殻を大量に回収している。

デパートの袋はドレスに…溶かさず再利用

オフィスはレコードで間仕切りし、デスクはドアを再利用(米ニュージャージー州テラサイクル本社)

世界の有力企業をひきつけるテラサイクルの魅力とは一体何なのか――。一つは回収後のリサイクルを丸ごと依頼できるという簡便さ。もう一つが、物を溶かさずに特性を生かして再利用する「アップサイクル」手法だ。例えばポテトチップスの袋はバッグに、デパートの袋はドレスに、多数のペンはシャンデリアに様変わり。つまり企業はロゴやブランド名の入った商品をつくり、販売もできる。

企業心をくすぐるアイデアは、ニューヨーク郊外にある本社で、専属デザイナーたちが次々と生み出す。使い捨てレコードを並べて部屋の間仕切りに、住居のドアは会社の机に――。ゴミをとことん利用するアイデアが詰まっている。ユニークぶりは米国でも注目され、社員たちの様子がドキュメンタリー調のバラエティー番組に。人気が出てシリーズになった。

トム・ザッキー最高経営責任者(CEO)はハンガリーから政治亡命し、カナダで育った

テラサイクルの創業は01年。トム・ザッキー最高経営責任者(CEO)が学生時代になぜかミミズに執心し、生ゴミから堆肥をつくる研究をしたことから始まった。現在の売上高は13年で1870万ドル(約22億円)。ザッキー氏の方針で、利益は売上高の1%にとどめ、残った費用は研究開発投資に回している。どんなに成長しても、経営陣の給与は、新人の7倍にとどめると決めている。

ザッキー氏はハンガリーのブダペスト生まれ。オランダに家族で政治亡命し、カナダで育った。米名門のプリンストン大に通い、そのまま米国で起業した。「僕たちはモノをたくさん持っていることをかっこわるいと感じる世代」。真のコスモポリタンは、世界のゴミ削減に大まじめに取り組んでいる。

(企業報道部 弟子丸幸子)

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