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総事業費910億円、「首都高大改造」工事第一弾の全貌

ケンプラッツ

首都圏の巨大な交通網である首都高速道路で、大規模更新工事の第一弾の全貌が明らかになった。

首都高速道路会社は2014年12月1日、「高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋め立て部)の更新工事」の工事概要や契約手続き案などの説明会を開催した。手続き開始の公示は2015年1月下旬を予定している。発注者が公示前に説明会を開くのは珍しい。

大規模更新は、本線を通行止めにせず、橋梁(きょうりょう)を架け替えるなど大掛かりな工事を含む。首都高では初の試みだ。そこで、民間の技術力やノウハウを十分に生かせるように、公示前に情報を提供することにした。受注意欲の高い建設会社に対して、契約手続きの準備を促進する狙いもある。

完成予定は2026年度

契約方式には、技術提案を審査して優先交渉権者を決定し、価格などを交渉した後に仕様書を確定する「技術提案審査・価格等交渉方式」を初めて採用した。

2014年に改正された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(品確法)で、新たに加えられた第18条「技術提案の審査や価格などの交渉による方式の導入・活用」に基づいて試行を決めた。

また同工事では、総価契約単価合意方式、契約後VE (Value Engineering)方式、設計・施工一括発注方式も採用する。契約締結は、2015年7月上旬ごろの予定。工期は契約締結日の翌日から2026年9月30日までだ。総事業費は用地費込みで912億円である。

主な工事内容は、1号羽田線上下線の橋梁部・土工部の撤去や橋梁の新設、湾岸線とつながる八潮連結路の更新、迂回路の設置など。説明会で公表した資料から、本工事における特徴が見えてきた。

交差する構造物への対処がカギに

工事対象区間の上部には、水管橋や都道421号、国道357号など多くの構造物がまたぐ。1号羽田線の上下線4車線の交通確保はもちろんのこと、交差する道路の交通も確保しながら工事を進めなければならない。ただし、八潮連結路については、一定期間の通行止めを想定している。

水管橋については、トラス補剛形式に架け替える。更新に伴って不要になる既設の1号羽田線は、本工事で撤去する。ただし、海底以深については、残置可能とした。

東京五輪時はどうなる?

2026年度の完成を目指す1号羽田線が、2020年の東京五輪をどのような状態で迎えるのかに注目が集まる。首都高は、東京五輪時の供用形態に条件を課す予定だ。

首都高が提示した施工手順案は以下の4段階に分かれる。

まず、上り線の横に迂回路を構築し、上り線の交通のみを迂回路に切り替える。第2段階として、現況の上り線の構造物を撤去した後に橋梁や盛り土構造を新設。そのほか、八潮連結路を更新して、暫定的に迂回路の上り線に接続する。この段階で東京五輪を迎える。

第3段階では、新設した上り線用の橋梁に下り線の交通を移して、現況の下り線を更新する。最後の第4段階で、八潮連結路を本線につなぎ、上下線を新設構造物に適宜切り替えて、迂回路を撤去すれば完了だ。

東京五輪の開催期間中は、大規模更新の工事を休止する予定だ。

作業時間帯や住民対応なども課題

1号羽田線の大規模更新では、作業時間帯の制約なども施工者を悩ませそうだ。

作業時間は原則として、午前8時~午後5時。高速道路の夜間車線規制を伴う作業は、夏季、年末、年度末以外とし、上り・下り線ともに1週間のうち3日間のみ。さらに時間は夜間と早朝に限定される。舗装の切削やコンクリートのはつりについては、午後11時までとさらなる制約がある。

東京モノレールの近接作業も、午前0時35分~午前4時と短い時間に限定されている。

現場沿線には、マンションが建つ区間もあり、住民対応なども考慮する必要がありそうだ。

維持管理と耐久性に配慮した提案求む

首都高が技術提案で評価する対象は、迂回路を含む工事目的物の構造や施工方法全般だ。

なかでも、大規模更新のきっかけとなった「長期的な安全性を確保する」という視点は、技術提案で特に求められるはずだ。説明会での資料からも、維持管理や耐久性を重視しているのが読み取れる。

首都高は技術提案を拘束しないという前提で、本設構造物の検討案を提示した。耐久性や維持管理性、周辺環境への影響低減策については、首都高が提示した検討案と同等またはそれ以上の提案が期待される。

上部工の検討案では、維持管理のしやすさを考慮して桁高を2.3mに設定。耐久性向上のため、桁の現場接合については、高力ボルト接合を適用している。床版については工期短縮や耐久性の確保、取り替えの容易さを考慮して、プレキャスト製のプレストレスト・コンクリート床版を採用した。

橋脚工には、根巻きコンクリートを適用。基礎の天端よりもかさ上げして、維持管理するスペースを設ける。

他方、鮫洲の埋め立て部については、地盤改良によって半永久的な耐久性を確保したうえで、高潮対策として上部にRC(鉄筋コンクリート)ボックスを設置。エポキシ樹脂被覆の鉄筋を採用して耐久性を確保する。

写真で見る東品川桟橋北側区間

では、工事対象区間の現状を写真で見ていこう。まずは東品川桟橋の北側区間だ。

写真で見る東品川桟橋南側区間

次に、都道421号から南側の現況である。

写真で見る鮫洲埋め立て部区間

最後に、国道357号から南側の鮫洲埋め立て部や八潮連結路の現況をお届けする。

(日経コンストラクション 真鍋政彦)

[ケンプラッツ2014年12月4日付の記事を基に再構成]

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