2019年8月25日(日)

災害弱者 自助で守る
見つめ直す 阪神大震災20年 第1部 備え(下)

2014/12/19 17:19
保存
共有
印刷
その他

「地震が来たら、『ダンゴムシ』のポーズ。片手で首、もう一方で頭をしっかり覆って」。神戸市長田区の長田消防署の樋口貴洋さん(43)が声を張り上げると、神戸市立駒ケ林小学校の4年生20人余りが一斉にその場で丸まった。

■子供に「護身術」

7月開催の「災害護身術教室」。子供が自分の身を自分で守ることに重点が置かれ、2012年度から2千人以上が受講した。阪神大震災では家具の下敷きになった子供もいたことから、段ボール製の家具を配置した部屋の中で寝る場所を考えさせる一幕もあった。

災害時に身を守る体勢などを学ぶ児童(神戸市長田区の長田消防署)

災害時に身を守る体勢などを学ぶ児童(神戸市長田区の長田消防署)

避難やその後の被災生活で支援を必要とする「災害弱者」をどう守るかの課題。大災害時には、高齢者や障害者などに死者が集中することは統計などで裏付けられている。

兵庫県によると、阪神大震災の死者のうち、65歳以上の高齢者は49.6%。東日本大震災時には、岩手、宮城、福島の3県で56.5%に達した。被災当時の人口構成から死亡率を算出すると、それぞれ一般の2~3倍程度の計算になる。

自分や家族で備える「自助」が注目される背景には、阪神、東日本の震災を経て、防災対策で行政などによる「公助」への期待が全国で縮小している実態がある。

内閣府が昨年12月に実施した世論調査では、防災対策について「公助に重点を置くべき」と答えた人は前回調査(02年度)の24.9%を大きく下回る8.3%。一方で「自助」は21.7%で3.1ポイント増加した。

神戸市の東灘区自立支援協議会は昨年、「障害者サポートマニュアル」を作成、自治会の担当者などに配布した。被災した際に障害者が必要とする支援を、障害者自身が発信するための取り組みでもある。

■障害者自ら発信

聴覚障害がある夜久幸男さん(75)は震災の後、避難所で空腹を周囲にジェスチャーで伝えることができず苦労した。「自分が受けたい支援を事前に周囲に知ってもらう」ためにもマニュアル作りに参画した。

同志社大の立木茂雄教授(社会学)は「高齢者や障害者が必ずしも弱者ではない」とした上で、「必要なときに支援が得られない場合に、結果として災害弱者になる」と話す。自ら地域で声を上げるなど「いざというときに支援が得られるよう備えておく」(同教授)ことが最大の自助となりえる。

■福祉避難所、全国に

避難時に特別な配慮が必要な高齢者や障害者などが利用できる場所として老人ホームなどを「福祉避難所」に指定する動きが生まれたのも阪神大震災がきっかけだ。

2007年の能登半島地震で初めて開設され、バリアフリー設備のほか、介護福祉士や看護師の支援を受けられる所もある。12年9月時点で、全国の指定は1万1254カ所に上った。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。