2019年7月16日(火)

羽生のジャンプ、自然体だから美しい
プロスケーター 太田由希奈

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2014/12/22 7:00
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 どこまで強くなるのだろう。フィギュアスケート男子の羽生結弦(ANA)は、グランプリ(GP)ファイナル(14日まで、スペイン・バルセロナ)で2位以下に30点以上の大差をつけて連覇を果たした。11月の中国杯で他の選手と衝突するアクシデントを乗り越えての栄冠に、羽生の底知れぬ才能と精神力を改めて感じた人も多いだろう。演技の中でも鮮やかだった4回転などのジャンプについて、プロスケーターの太田由希奈さんは「自然体だから美しい」と解説する。

2種類の4回転、高さもキレも

GPファイナルの羽生選手は本当に素晴らしかった。今季世界最高となる288点台の得点が出たのはジャンプ、スピンなど一つ一つの要素に出来栄えによる加点がたくさんついたからこそ。特にフリーの冒頭で決めたサルコーとトウループの2種類の4回転ジャンプは高さもキレもあって、見ている人たちを魅了したのではないか。

ショーなどで一緒になったときに感じるのは、羽生選手のジャンプは本当に自然体で跳んでくるということ。スピードに乗ってスーッと静かに滑ってくるので、これから跳ぶぞという雰囲気があまりない。ナチュラルにスケートに乗ってきて、そのまま軽やかに伸び上がる。

ジャンプする前に数秒じっくりためてから跳ぶ選手も多いが、それだと見ている方も「今から跳ぶぞ。成功するかな」と構えてしまう。でも、羽生選手は全く力みなく、何事もなかったように4回転を跳ぶので、見ている方もビックリしてしまう。「すごいな。きれいだな」と感じるのは、こうした自然の流れの中で鮮やかにジャンプを成功させるからだろう。

GPファイナル男子シングルの結果
SPフリー合計
1羽生結弦
(日本)
94.08194.08288.16
2フェルナンデス
(スペイン)
79.18174.72253.90
3ボロノフ
(ロシア)
84.48160.05244.53
4コフトゥン
(ロシア)
87.02155.25242.27
5無良崇人
(日本)
78.35157.02235.37
6町田樹
(日本)
87.82128.31216.13

技と技との間のつなぎの部分成長

もう一つ成長しているなと感じたのは、技と技との間のつなぎの部分。音の取り方だったり、スケーティングのきれいさだったり、フリーレッグ(氷についていない方の足)の位置だったり……。今年2月のソチ五輪のときはフリーの後半でバテも見えたが、今季はそうしたこともなく、細かいところまで気配りしているところが見て取れた。特にスケーティングの最も基本となるクロス(足をクロスさせる動作)がしっかりと深く入っていて、氷へのタッチがとてもきれいになった。

スケーティングの際、うまい選手ほど滑る音がほとんどしない。今年引退した高橋大輔選手も氷へのタッチが素晴らしかったが、羽生選手のスケーティングも本当に上達している。かつての日本のエースから新エースへ。長所がしっかり受け継がれているな、と感じた。

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