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今年はロボット普及元年 IoTにつながる未来

(三淵啓自)

2014年を振り返ると、ロボットや人工知能(AI)などが社会に浸透し始めた年だった。米アマゾン・ドット・コムが無人飛行ロボット「ドローン」を使った商品搬送を打ち出すと、グーグルはドローン配達プロジェクト「プロジェクト・ウイング」を公表。独DHLは限られた地域ながら薬品などの緊急医療品などを搬送を始めた。

ネスカフェはコーヒーマシン売り場の接客用にペッパーを導入

国内では6月、ソフトバンクが人工知能を搭載した人型ロボット「ペッパー」を発表した。15年2月から19万8千円で一般販売する予定だ。

ペッパーは個人の顔や表情を認識し、クラウドと連動して人の感情を理解して人をサポートできるロボットを目指している。ネスレは15年末までに、コーヒーマシンを販売している1千店にペッパーを導入すると決定。既に都内の量販店などでは可動実験が始まった。顧客のニーズに合わせて商品を説明するという。

11月にはソフトバンクがペッパー用に認知症予防のアプリを開発したと発表。クイズで症状の有無を簡易診断したり、質問や会話を通じて予防したりする。主に介護施設への導入を見込む。ペッパーの開発ツールやシミュレーションも一般提供が始まった。ある程度の工学知識があればアプリやサービスを開発できるため、今後の多様な社会ニーズの解決策となる可能性がある。

海外では既に防犯用ロボや接客用ロボが実用化されている。米シリコンバレーではナイトスコープが開発した防犯ロボット「K5」が警備中だ。犯人逮捕はできないがビデオ撮影や警報などで犯罪抑止力として役に立っているという。米スターウッド・ホテルズ・アンド・リゾーツ・ワールドワイドは8月、カリフォルニア州クパチーノの自社系列ホテルにロボット執事「ボットラー」を導入した。顧客の簡単な要望に応じて部屋まで自動で物を運ぶため従業員の負担軽減になっている。

 ロボットの普及と並行して、センサーのネットワークやインターネットに接続されたデバイスなどの普及の兆しも見てきた。今まではスマートフォン(スマホ)などの端末で情報を表示・入力する必要があった。だがスマートデバイスやスマートセンサーは人を介さずに自動で情報をクラウドにアップできる。今後は必要な情報をデバイスが取得するマシン・トゥ・マシン(M2M)や、デバイス相互にネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)のインフラが整備されるようになるだろう。

 みつぶち・けいじ 米サンフランシスコ大卒、スタンフォード大学院で修士。オムロンやウェブ系ベンチャー企業設立を経て04年より現職。

20年には500億個のデバイスがネットに接続され、IoT関連市場は700兆円になるとの調査もある。米マイクロソフトはIoTに対応した新戦略にとして組み込み用OS(基本ソフト)「ウィンドウズ・エンベデッド」を今夏から企業向けに無償提供を始めた。

今月4日にはヤフーがIoT開発支援プラットフォームを来春提供すると発表。IoT製品向けにAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)と呼ぶ技術仕様を公開し、プラットフォームも提供する。開発されたデバイスや製品をワイモバイルの店頭で販売する方針だ。

IoT産業は個人が使うウエアラブル端末からテレビや家電などのホームネットワーク、自動車のオートネットワーク、公共の移動システム、会社・学校などの公的な施設、都市ネットワークまで、適用範囲は極めて広い。ロボットや人工知能なども連動するため、デバイスやサービスの事業展開は多くの業界をまたいだ連携が必須になる。

東京五輪開催の20年には、ロボットやセンサーが人に快適な生活を提供する社会が当たり前になっているかもしれない。

(デジタルハリウッド大学教授)

〔日経MJ2014年12月19日付〕

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