もう閲覧数には頼らない ヤフーのニュース新戦略

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2014/12/18 7:00
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インターネットを通じて配信されるニュースについて、その「質」に焦点を当てた議論が盛り上がってきた。ヤフーは12月初め、「ヤフー!ニュース」で閲覧回数(ページビュー、PV)以外の要素で個人が書いた記事を評価する仕組みを導入した。スタートアップ(新興企業)関連のイベントでも質を重視する発言が相次ぐ。PV一辺倒からの脱却が加速しそうだ。

■50%還元で書き手に報いる

「ヤフー!ニュース」のイベントであいさつするヤフーの宮坂学社長(1日、東京都・中央区)

「ヤフー!ニュース」のイベントであいさつするヤフーの宮坂学社長(1日、東京都・中央区)

「ヤフーは日本で一番、ニュースの書き手をサポートする会社になりたい」――。12月1日、ヤフーが都内で開いた「ヤフー!ニュース個人 オーサーカンファレンス2014」。宮坂学社長は全国から集まった「ヤフー!ニュース個人」のオーサー(個人の書き手)を前に強調した。

1996年に始まったヤフー!ニュースは、月間100億PVを上回る国内最大のニュースサイトだ。動画やモバイル版などを順次追加し、12年には新聞社などの報道機関ではなく、個人が執筆する記事を掲載するヤフー!ニュース個人を立ち上げた。当初、55人だった執筆者は465人まで増加し、「当社の最も重要なサービスのひとつ」(宮坂社長)に育った。

一方で反省もあるという。同社の片岡裕メディアサービスカンパニーニュース本部本部長は「(オーサーが)継続的に活動したいという場所にまだなっていない」と自己分析し、いくつかの改善策を発表した。骨子は執筆者の活躍の場の拡大、記事がより読まれる仕組み、金銭還元の拡充――の3つだ。

活躍の場に関しては、報道機関などの通常の記事にオーサーがコメントを書き込める専用の欄を設けた。オーサーが利用者の目に触れる機会を増やす。より読まれる仕組みとしては、ヤフーの編集部が利用者の関心が高そうなテーマなどについてオーサーに執筆を依頼する。「テーマ設定を含めてオーサーにお任せ」という現状を変え、読者ニーズに応えようと試みている。

興味深いのは最後の金銭還元だ。従来は記事から得た収益の30%を執筆者に還元していたが、この比率を50%に高める。さらに「年間オーサーアワード」を新設し、オーサーや外部有識者、編集部が選んだ受賞者に100万円の賞金を進呈。毎月、「月間MVA(Most Valuable Article)」も選出し、執筆者には10万円を贈る。

年間オーサーアワードやMVAはいずれも、PVを判断基準としないというところが画期的だ。PVはサイトや記事の影響力を推し量る数少ない客観的な尺度で、広告収入にも直結する。だが一方で「PVだけでは質を評価できない」(ヤフー幹部)という思いが背景にある。「そもそも質とは何か」という課題は残り、どう定量化するかも今後の議論の対象となる。だが、ニュース配信に携わる関係者の間で同様の問題意識が広がっているのも事実だ。

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