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全通貨が対象、2日かかる決済も5秒で

米リップルラボCEOに聞く

 新しい金融サービスを生み出す基盤として決済処理の手段にも、仮想通貨にもなる。ビットコインに近い仕組みや技術を使う関連サービスとして「リップル」にも注目が集まっている。リップルの仕組みをつくっている米ベンチャー、リップルラボのクリス・ラーセン最高経営責任者(CEO)に狙いと戦略、ビットコインとの関係について聞いた。

 ――仮想通貨のビットコインと比較されるが、すみ分けや社会的影響の違いをどう意識しているか。

既存の金融業界と協調し、新技術の普及を目指すリップルラボのクリス・ラーセンCEO

「我々はドルや円、ビットコインも含めあらゆる通貨の決済を処理する。まずビジネスの領域が違う。我々はビットコインのようにシステムの維持を不特定の技術者に外部委託し、対価としてデジタル通貨を与える『マイニング(採掘)』の仕組みを持たない。確かに我々もビットコインのようなデジタル通貨として資産を持つ。ただ、流通量は我々が管理し、必要があれば開発への貢献者に分配している。技術革新を進め、取引を活性化させる十分な動機づけになっている。リップルを使った取引が増えれば、媒介としてのデジタル貨幣の資産価値も高まる仕組みだ」

「外部企業がリップルのデジタル通貨を扱う取引所を運営している。投機の対象になりうるし、価格変動リスクはつきものだ。投資家は注意する必要がある」

「ビットコインに関わる起業家たちは金融産業に革命を起こすと言う。ばかげた話だ。規制業種の金融ビジネスでは、当局と折り合いをつけていく必要があり、ビジネスの変革スピードは緩やかだ。今の多くのベンチャーのアプローチでは成功するとは思えない」

 ――リップルのビジネスが広がることで消費者が受ける恩恵は。

「今の国際送金の市場はJPモルガンやシティなど6つの巨大金融機関により独占されている。競争もなく、長い間技術革新が起きていない。既存の仕組みで2日以上かかっていた取引がリップルを媒介すれば5秒で終わる。24時間受け付け可能になる。仲介機関を介さず、最もレートのいい金融機関を瞬時につなぐので、送金の手数料も安くなる。取引量が少ない通貨では特にコスト削減効果が大きい。ブローカーや金融機関にとっても、利便性を売りに高付加価値サービスを提案できるようになり、利点は大きい。海外送金で毎日数十億ドルが動く。9千の銀行が決済処理サービスを使っており、巨大な市場がある」

 ――金融機関が運営する国際銀行間通信協会(SWIFT)が提供する既存のサービスを脅かし、手数料に値下げ圧力をかけている。金融業界からの抵抗はないのか。

「我々は既存の金融業界とは敵対していない。我々の技術革新は『破壊的』ではなく『建設的』だ。我々は資金を動かすデータを処理するインフラ提供に特化し、売買の仲介や決済を指示する機能や手続きに使うやりとりのルールづくりなどはSWIFTを活用するというようなすみ分けもできる」

 ――金融機関の顧客開拓の進捗は。

「現在カンザス州のCBWバンクなど3つの金融機関がサービスを利用し始めている。大手の金融機関とも交渉中だ。今は新技術をまず理解してもらう段階だ。技術志向の比較的新しい金融機関の反応がいい。特に英独の銀行は技術志向が強い。米国でも理解は高まっている。日本の金融機関との交渉にも関心を持っている」

 ――将来的なデータ処理能力の拡張性を不安視する声もある。80人程度の開発者の体制で十分なのか。

「心配していない。メールサーバーのような非常に安いハードの性能を上げることで解決できる。リップルのデータ処理に特化した開発をしている」

 ――「ブロックチェーン」のような「公的な分散記録データベース」の概念を使った新しい金融サービスをどう定義するのか。

「『価値のインターネット』だ。インターネットの初期に通信プロトコル(規約)を使ってつながった。リップルは異なる通貨をつなぎ交換するためのアルゴリズムだ。価値を持った資産がリップルという共通のプラットフォームを使ってつながり、移動する」

――信用の裏付けがないと批判する研究者も多い。どう反論するのか。

「数学的に優れたプログラミングが新しい仕組みへの信頼を生み出す。サーバーどうしが参照し合い、データの正確性を監査し合う仕組みを取り入れている。悪意ある書き換えが難しい仕組みによって不正を防げる。規制当局にとっても追跡しやすく統制しやすい面もある」(シリコンバレー=兼松雄一郎)

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