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技術者虜にする「ハッカソン」 腕試しの場に

山田 剛良(日経NETWORK編集長)

主にIT(情報技術)系の技術者が集まるイベント「ハッカソン」の裾野が広がってきた。面識のない技術者がその場でチームを組み、1日から数日の超短期間で作ったサービスや製品のプロトタイプ(試作機)の出来栄えを競う。開催が広がって参加する楽しさを知った技術者が増え、技術者のネットワークづくりやモチベーション向上などにつながっている。

2014年11月にジェネストリームが開いたハッカソン「華麗にシャチクソン」の様子

11月7日金曜日の夜。東京・五反田のビルの1室に9人のIT技術者が集った。ビジネスマン向けのITサービスを開発するジェネストリーム(東京・品川、秋貞雄大社長)が初めて主催したハッカソン「華麗にシャチクソン」の参加者だ。

ハッカソンはプログラム開発を意味する「ハック」と「マラソン」を組み合わせた造語だ。2014年に入り、国内でも盛んになっている。本場の米国では自動車メーカーなどITとは無関係の大企業が主催する大きなイベントも増えている。

華麗にシャチクソンを仕切ったのはジェネストリームの釘宮慎之介氏。普段は同社の主力サービス「Cu-hacker(クウハッカー)」のアプリ開発などを手掛け、いくつかのハッカソンで優勝経験を持つ有能な技術者だ。11月中旬にウエブメディアのテッククランチが開いたハッカソンにも参加。釘宮氏らのチームが開発した「アグレッシブ離婚」は2つのスポンサー賞を受賞、参加者や交流サイト(SNS)で「今回、一番面白かった」と評価された。

 釘宮氏がハッカソンに参加し始めたのは今秋になってから。7月にジェネストリームに転職し、「前から出たいと思っていた」と実行。前職は守秘義務などの制約が厳しく、プライベートでも出場したいと言える雰囲気ではなかったという。

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て13年から現職。京都府出身、49歳。

10月に初参加したハッカソンでいきなり優勝。その後もコンスタントに出場を続けている。その理由を釘宮氏は「メンバーと一緒に没頭して何かを作り上げる時間がものすごく楽しい」と話す。仕事ぶりや技術力を他のメンバーから評価されるのも醍醐味だ。「『オレ、案外やれるじゃん』と自信を持てた」。他の技術者と比較で自分の実力や現在地を確認でき、技術に対するモチベーションが高まったという。

ジェネストリームの秋貞社長は楽しげな釘宮氏の様子を見てハッカソンの自社開催を思いつく。「技術者が楽しみ、モチベーションを高める」効果が自社開催でもっと促せると考えた。楽しいハッカソンを開く会社という評判が社外の技術者の間で広まれば「今後の人材獲得に有利」との計算もあった。初めての試みで参加者集めなど運営面で苦労したが、「掛かった経費以上のリターンは確実」と自己評価する。

ハッカソンが国内で隆盛するきっかけとなったのは、13年1月に米エバーノートが開催したハッカソンだろう。トヨタIT開発センター(東京・港、橋本雅人社長)やぐるなびといった異業種を巻き込み、自社の技術やサービスの普及促進だけにこだわらない「異業種格闘型」のイベントに仕立ててみせた。

エバーノート日本法人の外村仁会長は「ハッカソンのコアは技術者へのリスペクト。主催や協賛する企業や団体は『おこぼれ』をもらえれば十分という気持ちでちょうどいい」と話す。

国内でも既に、企業だけでなく自治体や公共団体主催のハッカソンが増えている。「技術者が楽しみにするイベント」の定番として育っていきそうだ。

〔日経MJ2014年12月8日付〕

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