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日米球界、テレビ放映権料の明暗が招いた年俸格差
スポーツライター 丹羽政善

(2/2ページ)
2014/12/1 7:00
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そもそも日本の最高年俸が頭打ちしている。99年から15年後の今年、その上昇額は1億円にとどまり、当時の1.2倍になったにすぎない。同じ期間でみたメジャーはといえば、2.34倍だ。

地元放送局の放映権料が年平均1億ドル超の球団
ドジャース3.2億ドル
エンゼルス1.5億ドル
レンジャーズ1.5億ドル
マリナーズ1.15億ドル

(注)「ファングラフ」より

メジャーの放映権料は右肩上がり

どうして、ここまで格差が生まれたのか。

まず、日本のトップ選手が次々とメジャーへ流出している現状がある。イチロー、松井秀喜、ダルビッシュ有らが残っていれば、どの程度まで年俸は伸びていたのか。ただ、それでも限界があるはずで、格差の背景を考えたとき、日本のプロ野球とメジャーの収入源の変化が透ける。特に、テレビの放映権料で明暗が分かれた。

12年、大リーグ機構(MLB)はESPN、FOX、TBSと14年から21年までの8年契約を結び、年平均15億ドルがリーグに入るようになった。これは、13年までの年平均7億1100万ドルと比べて倍以上に当たる。この15億ドルはほぼ全額が全30球団に均等配分されるため、1球団あたりにおよそ5000万ドルが分配される。加えて、各球団は地元放送局と結ぶ放映権料も手にする。その額もまた高騰しており、平均で年間1億ドルを超える球団も珍しくない。

さらにリーグの分配金と地元放映権料を合わせて1億ドルを超えるのは10球団にも上り、それが年俸上昇の原動力となっている。一方で日本のプロ野球界はといえば、今や全国放送の地上波で試合が放送されることはまれ。放映権収入は厳しい状況にある。メジャーの放映権料が右肩上がりなのとは対照的だ。

また、大リーグには「MLB.COM」という公式サイトからの収入もある。00年に立ち上げ、開設からの4年間は各球団が年100万ドルずつ運営に必要な資金を出す予定だったが、3年目あたりから黒字に転換。特に、大リーグの全試合を視聴できる「MLB.TV」が莫大な利益を生み出している。それを原資とした各球団への分配金が年間2000万ドルに達するともいわれ、放映権料と同じく「金のなる木」だ。この事業モデルでも、日本のプロ野球ははるかに後れをとっている。

成功の裏にコミッショナーの存在も

こうした成功の裏には、バド・セリグ・コミッショナーの存在があるとされる。今季で勇退が決まっているセリグ氏が「コミッショナー代行」に就任した92年、大リーグ機構の総収入は約12億ドル。それが今年は90億ドルを超える見込みという。当初、セリグ氏がオーナー出身のコミッショナーであることに選手会は反発。オーナーの利益を代表しているだけだとの見方もあったが、彼は強いリーダーシップを発揮して次々と改革を断行。大リーグをここまでの巨大産業にまで育て上げた。

考えてみれば、これだけ強いコミッショナーの権力も、日本にはないものと言えるのかもしれない。

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