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日米球界、テレビ放映権料の明暗が招いた年俸格差
スポーツライター 丹羽政善

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2014/12/1 7:00
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1971年の秋のこと。10月17日、米大リーグのオリオールズはワールドシリーズ第7戦でパイレーツに敗れたが、その6日後には日本での日米野球の第1戦に臨んだ。決まっていたこととはいえ、オリオールズの選手らにとっては慌ただしい日程となった。しかも、予定されていた試合数は18試合。日本全国を転戦し、滞在期間は1カ月近くに及んだ。

魅力的なボーナス、長旅をも歓迎

今では、これほど長期な日程は実現困難だが、オリオールズの選手らはむしろ喜んでいたという。その年、20勝を挙げたジム・パーマーがこんな話をしていたそうだ。

「日本にただで行けて、しかも、1万ドルももらえたんだぜ!」

夫人同伴の場合、報酬は半額だったとのことだが、当時の彼の年俸は7万ドル。1万ドルはなかなかのボーナスだった。オフになると、選手らがアルバイトをして生活費を稼ぐことも珍しくなかった時代。選手らは長旅をも歓迎した。

7年後、ジョニー・ベンチがレッズの一員として日米野球に参加した。その時点ですでに11年連続でオールスターに選ばれ、最優秀選手(MVP)に2度選ばれるなど、メジャー屈指のスーパースターだった。その彼にしても「日米野球に出場すると、こんなにお金がもらえるのかと思った」という。

「ホームランを打つと、さらに賞金がもらえるんだ。もっと打ってやろうと思った(笑)」

17試合で9本塁打を放ったベンチの年俸は40万ドル。同年、日本で最高だった巨人の王貞治(現ソフトバンク球団会長)の年俸は7680万円。年末の為替レート(1ドル=194円近辺)で換算すると約39万6000ドルで、その年俸はベンチとほぼ変わらなかった。

こうして当時を振り返ると、日米野球の報酬に大リーグのスター選手らでさえ喜々とし、日本のプロ野球ビジネスは決してメジャーに劣っておらず、年俸でも遜色ないケースさえあったようだ。

選手の最高年俸に5倍以上の開き

その後も、今ほど極端な差はついていなかった。

99年、日本の最高年俸は推定でイチロー(オリックス)と佐々木主浩(横浜)の5億円だった。同じ年、メジャーの最高年俸はアルバート・ベルの1195万ドル。99年末の為替レートが1ドル=102円台前半だったので12億2000万円程度。その差は2.4倍ほどだ。

ところが、今年の年俸で比べると、日本選手の推定最高額が阿部慎之助(巨人)の6億円なのに対し、メジャーでは、ザック・グリンキー(ドジャース)の2800万ドル(約33億円)。差は5倍以上に開いている。年俸が20億円、30億円というレベルは日本のプロ野球では想像しがたいが、メジャーの場合、20億円を超える選手は今年、29人を数えた。

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