2018年12月12日(水)

「はやぶさ2」 新たな挑戦支える中堅企業の技
衛星内部の物質取得

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2014/11/28付
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 宇宙空間では地上と同様に、表面にある物質は風化する。「はやぶさ2」は新搭載の衝突装置で人工的にクレーターをつくり、風化の影響がない新鮮な内部物質を採取する予定だ。水や有機物に富む小惑星「1999JU3」から、より多くの情報を持ち帰る。重要なミッション成功のため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とともに中堅企業が汗をかいた。

■日本工機、着陸地作る衝突装置

「しっかり飛んでくれ」――。2013年10月。はやぶさ2の目玉技術のひとつとされる衝突装置の野外実験が岐阜県で実施された。的や発射台が設置されただだっ広い場所に多くの宇宙開発関係者が集まる中、従来見慣れなかった人たちが準備に汗をかいていた。

衝突装置は爆薬約5キログラムの爆発による圧力で銅板が球状に変化。秒速2キロメートルの超高速で小惑星に向かい、最大直径10メートルほどのクレーターを形成する仕組みだ。宇宙開発を長くけん引するIHIやNECに加え、爆薬メーカーの日本工機(東京・港)が担当した。

防衛省向けに砲弾などを製造するが、宇宙向けは初めて。「経験ないことの連続だった」。設計・製造を担当した研究開発部の田子義則主任は、関わった人すべての思いを代弁する。JAXAと本格開発を始めて4年。戸惑いを感じつつ壁を乗り越えてきた。

大まかな設計は早い段階で固まったが、試験が長かった。経験したことのない水準の振動や耐熱の試験が求められた。爆薬の試験は気を使うが、治具も自作するしかない。「会社人生の中で初めて無理という言葉を使った」(田子氏)。机のまわりには、失敗した試作品が転がった。試作と試験を繰り返し、治具を形作っていった。

日本工機とJAXAが実施した衝突装置の実証試験=JAXA/日本工機提供

日本工機とJAXAが実施した衝突装置の実証試験=JAXA/日本工機提供

製造も難しい。弾薬の注入口は「通常考えられないほど小さい」(同部の川堀正幸氏)。大きさや重量に制限があり、求められる威力を出すには注入口の方に絞るしかない。火薬も粘度が高い新素材で、中に充填しにくい。厳密に注入量を制限しつつ長時間かけて入れ込み、まんべんなく行き渡るようにした。

設計製造ともに苦しめたのは、「時間のなさ」(同部の矢野英治主査)。開発期間が短い上、東日本大震災で開発を担う白河製造所(福島県西郷村)のライフラインが停止。延期できない11年10月の実物大での試験に、休日出勤で対応した。

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「はやぶさ」初号機の軌跡

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