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[FT]独エネルギー政策の矛盾(社説)

石炭火力で汚染拡大

ドイツほど熱心に温暖化ガスの削減に取り組んでいる国はない。「エネルギーベンデ」と名付けたエネルギー転換政策に取り組み、2050年までに電力の8割を二酸化炭素の排出なしで確保するつもりだ。だが、ドイツはあまりにもたくさんのことを性急に達成しようとしているようだ。

2000年にエネルギーベンデ政策を始めてから再生可能エネルギーの供給が急増、今年は電力の4分の1以上を賄う。メルケル首相も11年の福島での原発事故を受けて転換政策を加速させ、22年までに全原発を閉鎖する方針だ。

ドイツは2つの深刻な問題に直面している。

第1に再生可能エネルギーの不安定性と原発による発電の削減で何年も供給問題に悩むはずだ。供給不足の解消には二酸化炭素を出す石炭火力発電に頼らざるを得ない。

第2は経済への影響だ。再生可能エネルギーへの政府補助金は消費者の直接負担が原資。ドイツの家庭は米国の2倍の電力料金を払っている。事業者向け料金はここ4年で30%以上跳ね上がり、競争力にとって大きな重荷となっている。

メルケル内閣は来週、気候変動の目標を維持しながらエネルギー供給を確保する方策を協議する。選択肢は限られる。原発停止の撤回は政治的に不可能だ。二酸化炭素を削減するために一部の石炭火力発電所を止めれば、家庭の電力使用の抑制につながりかねない。

ドイツ国民の多くが50年には世界で最も安価できれいで安定したエネルギー供給を受けられると信じている。だが、それはまだ先の話だ。短期では汚染を広げ、エネルギー料金を引き上げそうだ。

(2014年11月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2014. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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