「はやぶさ2」 2年半の短期で初号機ここまで改良
エンジン長寿命、通信容量4倍に

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2014/11/27付
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発しNECが製造した小惑星探査機「はやぶさ2」が打ち上げられる。エンジン停止や通信途絶などはやぶさ1は絶体絶命の連続だったが、2は各機能を強化、安定航行できるよう大幅改良した。「もう劇的なドラマはいらない」。往復52億キロメートル、6年間の旅に向かう。

■イオンエンジン 1万8000時間OK

2018年7月ごろ、はやぶさ2は、地球と火星の間を通る直径約900メートルの小惑星「1999JU3」に到着。撮影した画像を地球に送ってきた。数カ月後、着陸に向けて降下を開始、表面の岩石を採取する円筒形の「サンプラーホーン」を接地させてタッチダウンした――。

宇宙に飛び出すはやぶさ2がおよそ4年後に予定している作業の光景だ。はやぶさ1の打ち上げから11年。2に課されたのは、水や有機物に富むとされる小惑星にたどり着き、砂や石を採取。地球へ持ち帰る壮大なミッションだ。新たな航海に、計画責任者の国中均はやぶさ2プロジェクトマネージャ(JAXA教授)は「宇宙は決して甘くないが、成功を確信している」と目を輝かせる。

エンジンの相次ぐ故障、通信断絶など満身創痍(そうい)で地球に帰還したはやぶさ1は、「技術力は証明されたが、半分は失敗作」(JAXA)。2号機では大幅な改良が施された。

はやぶさ2のイオンエンジンは初号機に比べ推力を25%向上した

はやぶさ2のイオンエンジンは初号機に比べ推力を25%向上した

2は初号機のイオンエンジンを継承している。「キセノン」というガスを電子レンジと同じマイクロ波を使ってイオンに転化、イオンに電圧をかけて加速させることで推力に変えるのがイオンエンジンだ。

2は推進用ガスのキセノンの噴射量や噴出範囲にむだが出ないようガス供給システムの設計を変更。推力を25%向上させた。イオンの加速を妨げる電気の動きを防ぐ「中和器」も改良。磁場を変えることでイオンの加速を高めエンジンの長寿命化につなげた。「1万8千時間運転し続けても故障しないことを確認した」(月・惑星探査プログラムグループ)という。

このイオンエンジン、地上だと一円玉1枚をフッと飛ばす推力しかない。だが、空気抵抗がない宇宙空間だと怪物に変身。連続噴射すると秒速30キロの加速力を誇る。推進ガスのキセノンの量は60キログラムというから燃費性能は絶大だ。

「リアクション・ホイール」という姿勢制御装置も初号機では3台中、2台が故障。制御不能でアンテナがあらぬ方向に傾き、通信が長い年月途絶えた。2号機は転ばぬ先のつえと4台に増やしている。

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「はやぶさ」初号機の軌跡

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