2019年9月17日(火)

バナー広告20年の課題 ユーザーが見る度合い測れ
藤村厚夫・スマートニュース執行役員

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2014/11/25 7:00
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1つはバナー広告を巡る取引がこの数年で急速に自動化が進んでいることだ。「アドテクノロジー」と呼ばれる潮流で、増え続ける広告在庫の供給を自動的に最安値で買い付ける取引手法が普及した。粗製乱造されたコンテンツに劣悪な広告を供給する可能性も生じかねない。ある大手食品メーカーは買い付け可能な広告の約8割を、自社の運用ガイドラインや品質面から判断し、利用を拒否しているという。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年から現職。東京都出身、60歳。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年から現職。東京都出身、60歳。

さらに大きな問題が、広告が実際に掲示されインプレッションを生んでいるとしながら、ユーザーには認識されていないケースの増加だ。ユーザーの視線が届かないスクリーンの外にバナー広告が掲示され、インプレッション数を稼いでいるケースがある。

米国の調査会社の調査では、売買された広告の約半分が実はユーザーの目に触れていないという衝撃的な事実も報告されている。「多くのコンテンツに多くのバナー広告を掲示し、それを数多くのユーザーに見せる」というネット上の換金方程式が大きく揺らいでいるわけだ。これがバナー広告20年目の事実である。

では、バナー広告の未来はどのようなものだろうか。2つのシナリオが考えられる。1つはユーザーが確実に広告を見たか、もしくは見て行動したなどの指標を正確に測定して、不要な水増しや詐欺に近い状況を克服することだ。これによりバナー広告の存在意義を維持できるかもしれない。

もう1つはバナー広告に代わる形式を生み出すこと。既に検索連動型広告がバナー広告をしのぐシェアを得ているが、さらに新たな広告形式を発明する動きも盛んだ。

有望視されている新たな広告形式に「ネーティブ広告」がある。ネーティブ広告は記事に近い形式でユーザーに訴えかける。刺激的なグラフィックとコピーでユーザーの注意を引こうとするバナー広告とは対照的だ。大小のバナー広告の散乱にうんざりしているユーザーには受け入れられる可能性がある。記事形式を用いる点で"政教分離"のコンセンサスを得ることが必要になる。

バナー広告の未来を占うことは、今後のインターネットの正常な発展形を思い描くことにつながる。その意味で利用者を巻き込んだ多くの利害関係者の注目と議論が求められている。

〔日経MJ2014年11月24日付〕

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