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バナー広告20年の課題 ユーザーが見る度合い測れ

藤村厚夫・スマートニュース執行役員

インターネットを使っていてバナー広告を目にしない日はないだろう。バナー広告とは、広告をウェブサイト上で旗状に表示する仕組みだ。これこそ、それ以前に困難だったウェブを換金可能な世界へと転換する画期的な発明だった。

一般にバナー広告は、1994年10月にホットワイヤード(Hotwired)のホームページ上で誕生したとされる。それから20年。13年に年間約5兆円あったとされるネット広告の中で、依然としてバナー広告はシェアで2位(1位は検索連動型広告)、額でも全体の2割を占め、モバイル広告も含めれば高率の前年比成長を遂げているのだ。

技術革新の急な分野で20年にもわたりその命脈を保ち続けている理由は、原理の単純さだ。増え続けるホームページ、コンテンツ。その一つ一つにバナー広告を掲示できる。多くのコンテンツを多くのネットユーザーに表示すれば(バナー広告をユーザーに表示することを「インプレッション」と呼ぶ)、収入を得られる。つまり増収原理を描きやすいのだ。

むろん、単純さは往々にしてやり過ぎを引き起こす。ネット広告の主役を長く果たしてきたバナー広告が今、大きな課題に直面している。

 1つはバナー広告を巡る取引がこの数年で急速に自動化が進んでいることだ。「アドテクノロジー」と呼ばれる潮流で、増え続ける広告在庫の供給を自動的に最安値で買い付ける取引手法が普及した。粗製乱造されたコンテンツに劣悪な広告を供給する可能性も生じかねない。ある大手食品メーカーは買い付け可能な広告の約8割を、自社の運用ガイドラインや品質面から判断し、利用を拒否しているという。

さらに大きな問題が、広告が実際に掲示されインプレッションを生んでいるとしながら、ユーザーには認識されていないケースの増加だ。ユーザーの視線が届かないスクリーンの外にバナー広告が掲示され、インプレッション数を稼いでいるケースがある。

米国の調査会社の調査では、売買された広告の約半分が実はユーザーの目に触れていないという衝撃的な事実も報告されている。「多くのコンテンツに多くのバナー広告を掲示し、それを数多くのユーザーに見せる」というネット上の換金方程式が大きく揺らいでいるわけだ。これがバナー広告20年目の事実である。

では、バナー広告の未来はどのようなものだろうか。2つのシナリオが考えられる。1つはユーザーが確実に広告を見たか、もしくは見て行動したなどの指標を正確に測定して、不要な水増しや詐欺に近い状況を克服することだ。これによりバナー広告の存在意義を維持できるかもしれない。

もう1つはバナー広告に代わる形式を生み出すこと。既に検索連動型広告がバナー広告をしのぐシェアを得ているが、さらに新たな広告形式を発明する動きも盛んだ。

有望視されている新たな広告形式に「ネーティブ広告」がある。ネーティブ広告は記事に近い形式でユーザーに訴えかける。刺激的なグラフィックとコピーでユーザーの注意を引こうとするバナー広告とは対照的だ。大小のバナー広告の散乱にうんざりしているユーザーには受け入れられる可能性がある。記事形式を用いる点で"政教分離"のコンセンサスを得ることが必要になる。

バナー広告の未来を占うことは、今後のインターネットの正常な発展形を思い描くことにつながる。その意味で利用者を巻き込んだ多くの利害関係者の注目と議論が求められている。

〔日経MJ2014年11月24日付〕

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