2019年9月15日(日)

トヨタ、「ミライ」に透ける焦り 米国規制で揺らぐ立場

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2014/11/21 7:00
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ハイブリッド車(HV)『プリウス』を超えるイノベーションだ」。トヨタ自動車の加藤光久副社長は、2014年11月18日に開催した燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」(12月15日発売)の発表会で、力を込めてこう発言した。

トヨタ自動車が2014年12月15日に発売する、燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」

トヨタ自動車が2014年12月15日に発売する、燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」

HVの成功に安住せず、「水素社会」という新たな時代を切り開く――。エコカーだけでなく自動車産業の覇者としての地位を磐石とするためのメッセージを随所にちりばめ、攻める姿勢を鮮明にした。

だが、発表の細かい内容を吟味すると、ミライを通じてトヨタの焦りも透けて見えてくる。それは地域ごとの販売目標に表れている。米国の販売目標は2017年末までに3000台以上。国内が2015年末までに400台、欧州が2016年頃までに年50~100台と、日本から半年遅れて発売する米国が最も多い。

しかもわざわざ「以上」との言葉をつけ、米国で最低でも3000台を販売する意思を明確にした。そこには規制対応上、米国でFCVを売らなければならないトヨタの事情がある。

■エコカーの先行指標で苦境に

ひっそりと公表されたデータに重要な意味が込められていた。2014年10月17日、米カリフォルニア州大気資源委員会は、2014年9月末までの1年間の自動車各社による「ZEV規制」対応の状況を公表した。

カリフォルニア州は、自動車メーカーに対して販売台数の一定割合を電気自動車(EV)など排ガスゼロの車(ZEV :Zero Emission Vehicle)とするよう義務付けるZEV規制を導入している。基準未達のメーカーは罰金を払うか、超過達成するメーカーから「ZEV排出枠(クレジット)」を購入しなければならない。

トヨタはプリウスの販売効果で、これまでクレジットを売り続けてきた。2013年9月末までの1年間のデータでは、トヨタは507クレジットを販売し、EV専業の米テスラ・モーターズに次いで全体の2位だった。しかし、直近1年で販売上位からトヨタの名前が消えた。

排ガスゼロ車のクレジット売買の上位3社。左は2013年、右は2014年

排ガスゼロ車のクレジット売買の上位3社。左は2013年、右は2014年

2017年から規制が強化され、エンジンと併用するハイブリッド車がZEVの対象車種から外される。同州で販売台数の多いトヨタはZEV規制の要求達成が難しくなるため、今からZEVクレジットを蓄えているようだ。

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