四球は「フォアボール」にあらず 野球用語の不思議

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2014/11/20 7:00
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ソフトバンク対阪神の日本シリーズが守備妨害というあっけないかたちで幕を閉じた。一部のマスコミや、その終わり方に納得のいかない人たちから「誤審ではないか」「ビデオ判定を取り入れろ」という声が上がった。

タイガースを熱狂的に応援するファンの心理はわからなくもないが、プロOBの解説者までそういう主張をしたのには驚いた。それがタイガースファンに対する迎合なのか、本当にそう思っているのかは分からないが、本気で主張しているのなら「野球解説」という立場からはほど遠く、ただ審判への不信感を助長するだけだ。

明らかな守備妨害だった西岡の走塁

解説者がこんな主張をしてしまえば、結果的にファンに残るのは「モヤモヤ感」しかない。ルールへの無理解は野球の品位を落とすだけではなく、野球離れに拍車をかけてしまう。

日本シリーズ第5戦。阪神は0-1の九回表、1死満塁とした。打者は西岡剛。カウント3-1からの球を引っ張った打球は一ゴロとなり、一塁→捕手→一塁のホームゲッツーの形となった。

捕手から再び一塁に転送された球が打者走者の西岡に当たってボールがファウルグラウンドを転々とした。その間に、二塁走者が返り、一瞬同点かと思われたが、西岡がダイヤモンドの内側を走っていたとして、守備妨害と判定された。

この判定はルールをきちんと適用したもので、私の見る限り明らかな守備妨害である。スロー再生や次の日の新聞の写真をみると一塁ベース手前のところで、西岡の右足が本塁と一塁間のラインを踏んでいる。このことからも西岡の体がダイヤモンドの内側にあったことがうかがえるわけだが、実はここで問題なのは、足がラインを踏んだか否かではない。

解説者までビデオ判定要求には驚き

正しく解説すると、この場合、たとえ本塁から一塁までのスリーフィートラインの中に足があっても身体の一部がインフィールドに入り、相手の守備を妨害した場面は守備妨害のルールが適用される。したがって、西岡の足がどこを踏んでいたかが問題ではなく、西岡の身体がインフィールドにあったのかどうか、が問題なのである。

審判団も重大局面で守備妨害の判定を下すには「明々白々」の事実がなければ、とても宣告できるものではない。しかし西岡の身体は明白にインフィールドに入っており、正確なジャッジが下されたとみるべきであろう。前代未聞の幕切れとなり、阪神側も抗議したわけだが、覆る余地は最初からなかった。

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