四球は「フォアボール」にあらず 野球用語の不思議

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2014/11/20 7:00
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ファンではなく、解説者までがビデオ判定を促したのにはやはり驚かざるを得ない。あのプレーはルールを正確に理解している人ならば10人中10人が守備妨害と判断するプレーであった。

日本シリーズという大舞台、しかもその勝者を決するという場面で守備妨害を宣告するには相当の勇気がいるわけで、毅然とジャッジを下した東利夫審判に敬意を表したい。

ルール理解せず、誤審という側に問題

そもそも、今回のプレーは野球の基本中の基本ともいうべき話なのである。我々プロ野球関係者が走塁を教えるときは必ずといっていいくらい、最初に「打ったあとはこのスリーフィートラインのなかを走りましょう」と指導しているのだ。今オフも各地でプロ野球選手が野球教室を行うだろうが、そこでもこの指導はされるだろう。つまり、このレベルのミスを西岡は犯してしまったということなのである。それを「誤審だ」「ビデオ判定だ」とクレームをつけることは恥ずべき行為なのである。

西岡のミスを責めるつもりは毛頭ない。プロとはいっても人間はミスを犯す動物である。勝利に執念を燃やすあまり無意識のうちに「魔がさす」ということもあるだろう。問題はルールをキチンと理解もせず、「誤審だ」「ビデオ判定だ」という人間にあるのだ。

ルールの認識不足についてもう少し踏み込んで話してみよう。私は日本に野球が入ってきたときからすでにルールの誤解や誤訳といったものがあり、それが原因でプロから少年野球まで含めた球界全体の理解の浅さにつながっているのではないかと思っている。

せっかくの和訳、再び英語に戻して…

簡単なところから言うと、四球。米国では「フォアボール」とは言わず「base on balls」(ベース・オン・ボールズ)またはカジュアルに「walk」(ウォーク)という。死球は「hit by pitch」(ヒット・バイ・ピッチ)で「デッドボール」とは言わない。

明治期に野球が伝えられるようになり、用語を訳した人たちは大変な苦労があったと思う。これらは正岡子規らによって和訳されたものが多いのだが、それを誰かが英語風に戻したことで日本独特の野球用語になってしまったのだ。

せっかく、試行錯誤の末「ベース・オン・ボールズ」を「四球」と和訳したのに、無理解な人が四球を再び英語風に戻し、フォアボールとしてしまったのだ。また、ヒット・バイ・ピッチを当時の日本の情勢に合わせ「死球」と和訳したのにデッドボールと訳してしまう。これが日本でしか使われない独特の野球用語になってしまうのだ。

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